■竹灯籠に浮かべたろうそくに点灯、黙とうも
竹灯籠を「3.11」の形に並べた「慰霊と復興のモニュメント付近」には、多くの参加者が訪れた。同公園にともる「1.17希望の灯(あか)り」を分灯し、灯籠の中に浮かべたろうそくに点灯。竹灯籠には「追悼」「祈り」「明日に」など、さまざまなメッセージが書き込まれた。
震災発生時刻の14時46分に黙とうをささげた場面では、会場付近の通行人らも足を止めて黙とうする様子が見られた。同会場で竹灯籠を並べての開催は昨年に引き続き2回目、約300人が参加した。
■被災地と映像でつなぐ
岩手県北上市や陸前高田市と映像をつなぎ、メッセージを送り合った。北上市では伝統の舞が披露され拍手が起きる一幕も。陸前高田市で同時刻に開催されていた「3.11 希望の灯り」と同イベントの会場を映像でつなぎ、鳥羽太陸前高田市長からは「全国のたくさんの方々からの励ましや支援の継続に感謝している。震災が教えてくれた人のやさしさや思いやり、そして絆の大切さを忘れず、次世代に伝えていきたい」とメッセージが寄せられた。
陸前高田市のイベント司会者から「ぜひ現地に訪れて、現状を見て一緒に考えてほしい」との問いかけに久元喜造神戸市長は「いつ起こるか分からない南海トラフ地震を想定して準備をしていかなければいけない。両市の共通点として、われわれは海から逃れられない。恵みも受けながら、きちんと災害対策をしていくことが使命」と話した。
■神戸からのメッセージ
同イベントを主催する「阪神淡路大震災1.17のつどい実行委員会」の白木利周実行委員長が「神戸からのメッセージ」を、久元市長が「東日本大震災の被災地・被災者に向けてのメッセージ」を送った。
白木実行委員長:3年前のこの日、テレビの画面に映し出された光景に思わず息を飲んだ。全てのものを飲み込んだ大きな波に、一瞬で神戸の惨状がよみがえった。あれから3年。何度か現地を訪れたが、復興はほとんど進んでいないように見える。神戸の皆さんも支援している、勇気と希望をもって自分の力で歩いていきましょう。
久元市長(写真右):神戸市民と行政はこれからも皆さんと寄り添っていく。一緒に頑張っていきましょう。
■イベント参加者は
参加者の女子大生:小学生の時に父の仕事の転勤で仙台から関西に引っ越してきた。現地で被災したわけではないが、3年前のこの日は仙台にいる祖母や友人が心配で心配で、どうしようもなかったのを覚えている。できる限り現地でのボランティア活動には参加しているが、今日あらためて自分にはもっと何かができるのではないか、と感じた。関西にいても東北のことを忘れず、周りにも伝えていきたい。
■取材を終えて
阪神淡路大震災発生から19年を迎えた神戸では、震災の記憶を語り継ぎ、震災を風化させないことを目指してさまざまな取り組みやイベントを開催している。怖いのは「忘れられること」だと、同イベントの参加者も口をそろえた。だが、発生した1995年に生まれた子どもたちが来年には20歳を迎える。実際に震災が起きた地域でも、「知らない」世代が増えることで必然的に風化している現状があるように思える。
東北で起こった東日本大震災についても、「まだ3年しかたっていない、復興はこれから」と考えることで、震災を身近に感じられるのではないだろうか。被災者の立場を思いやることで、今被災地に必要なものが見えるのではないか。
先に震災を経験した神戸だからこそ東北へ伝えられること、神戸市民が神戸のためにできることなど、これからもさまざまな取り組みに注目していきたい。