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「神戸のパン店の中の人」神戸市民に愛されるパン店巡り ~ダディーズベーカリー~

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パンの街・神戸。香り高いパンが並ぶ店が至るところにあるこの街には、まだ知られていない店がたくさんあります。この特集では、そうした人気のベーカリーを取り上げ、神戸の新しい楽しみ方を提案します。普段は厨房にいるパン職人が語る、ここでしか聞けない話もあります。

■須磨海岸の近くにある木目が特徴のダディーズベーカリー

 JR須磨駅から東に徒歩5分、国道2号線沿いに位置する「ダディーズベーカリー」は、木で作られた外観が特徴。店内はパン店としては珍しいオープンキッチンで、職人が丁寧にパンを作る様子を直接見ることができる。今回は、須磨店の店長である岩井知子さんに話を聞いた。


ダディーズベーカリー店内

■須磨の住民やレストランに愛される店

 西宮や稲美町に姉妹店を持つパン店「ダディーズベーカリー」。岩井さんは、それらの姉妹店で経験を積んだ後、現在の須磨店を任されている。須磨店は「近所の常連さんが多く、親しみやすいお客さまが多い」と話す。近隣にあるイタリアンレストラン「Sandwich & Wine Altro(アルトロ)」にもパンを卸しており、同店ではアヒージョの付け合わせに、通常のバゲットではなくダディーズベーカリーの食パンを提供している。食パンはバゲットに比べてアヒージョのうまみが染み込みやすいという。取材中にも、他のレストラン店主がパンを購入しに来ており、地元住民だけでなく、近隣の飲食店にも広く愛されている。

■おいしさも見た目の美しさも妥協しない

 岩井さんは、県外からパン職人として神戸に移住してきた。神戸を選んだ理由は「仕事の関係もあるが、旅行で訪れた新開地エリアが故郷に似ていて気に入ったから」だという。観光地としてはややマイナーなエリアである新開地を選ぶところが、岩井さんのユニークな視点を感じさせる。

 パンは生きた酵母を使って作られており、日々の気温や湿度によって発酵具合が変化する。そのため、発酵時間や温度管理をその日の条件に合わせて調整する必要がある。発酵が適切でないと、気泡が大きくなったり、焼き上がりが不均一になったりするため、パン作りは繊細な技術を要する。岩井さんはその日の気候や状況に合わせてパンに付きっきりで作業を行っている。

パン作りに情熱を持つ岩井知子さん

■小麦から自社で作る、飽きないおいしさの食パン

 ダディーズベーカリーは自社農園を持ち、化学合成肥料や農薬を一切使わずに栽培したオリジナルの小麦を使っている。その小麦を使った食パン「一尺二寸(いっしゃくにすん)」は、店の「一押し」商品だという。この食パンは砂糖・卵・添加物を一切使わず、小麦と塩のみで作られており、小麦本来の風味を楽しむことができる。岩井さんお勧めの食べ方は「シンプルに何もつけず、軽く焼くこと」。それにより、素材のおいしさと、外側がカリッと中がフワッとした食感が引き立つ。

 「一尺二寸」の名前は36.5センチを意味しており、365日毎日食べても飽きないおいしさを表している。実際の商品も、その長さに近いという。

一押しの「一尺二寸」

◆山のパン屋Daddys Bakery須磨店(ダディーズベーカリー)
兵庫県神戸市須磨区須磨本町2-3-1
TEL 078-786-3997
営業時間:10時~18時(火曜・第1、第3水曜定休)
 

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