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「神戸のパン店の中の人」神戸市民に愛されるパン店巡り ~ラ マロニエ ペク~

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 パンの街・神戸。香り高いパンが並ぶ店が至るところにあるこの街には、まだ知られていない店がたくさんあります。この特集では、そうした人気のベーカリーを取り上げ、神戸の新しい楽しみ方を提案します。普段は厨房にいるパン職人が語る、ここでしか聞けない話もあります。

■地下の秘密のパン店!手書きの立て看板を見逃さないで!
 神戸三宮の繁華街の地下に、20時までパンを販売している店がある。名前は「la Marronnier pek(ラ マロニエ ペク)」。大通りに面しているが、地下にあるため店の立て看板を見逃さないようにしてほしい。夜は40年以上の歴史を持つ老舗のラウンジとして営業しており、ゆったりとした落ち着いた雰囲気の店内で購入したパンを食べることができる。


夜はラウンジとして営業する店舗

■ 好きなことはとことん追及。家族のためにおいしいものを手作りで
 店主の岡村庸子さんは京都出身。岡村さんのパン作りの原点は、母の友人から教わった料理の楽しさにある。幼い頃から料理に夢中で、特にお菓子作りが好きだった。フランス製の業務用オーブンまで自宅に導入するほどの熱意を持っている。
 母が病気になり、夫もぜんそくを患っていたため、岡村さんは免疫力を高める健康的な食事を意識するようになり、その一環で天然酵母を使ったパン作りに没頭するようになった。本を読んだり独学でパン作りを学んだりしたが、さらに詳しく知るために職人も直接教えを乞うこともあった。取材中にも、パンの発祥地や歴史について語ってくれた。ちなみに、店の名前の「pek」(ペック)はハンガリー語で「パン屋」という意味だという。


気さくに話をする店主の岡村庸子さん(右)いつも従業員と楽しく話をしながらパン作りをしている

■コロナを経て、お客さんにも身体にいいパンを提供
 岡村さんはもともとマロニエのラウンジで働いており、先代から店を受け継いだ。パン販売を始めるきっかけとなったのは、コロナ禍の影響。コロナ禍を経て緊急事態宣言が解除された後、外出を控えて家にこもってしまう人が外に一歩踏みでるきっかけになるように、さらに買いに来てくれるお客さまの健康を考えて、家族のために作っていた「体に良い」パンを提供したいと考えるようになった。そして2022年、無添加・天然酵母の手作りパンの販売を始めた。
 常連も、昼間に外に出ておいしくて健康的なパンを楽しむことを喜んでいるという。繁華街の地下にあるラウンジという非日常的な空間でパンを食べられる場所は珍しく、若い女性にも人気があり、一人で訪れる人も多いという


日によってさまざまな種類のパンが並ぶ

■好きなものがはっきりしている神戸人
 京都出身の岡村さんから見て、神戸の客は好みがはっきりしている人が多いという。お気に入りのパンを3日連続で買いに来た客もいるそうだ。
神戸の客は新しいものに対しても柔軟に受け入れる土壌があるという。そのため、岡村さんのパンには珍しい素材の組み合わせがよく見られる。「これとこれを組み合わせたらおいしそう」という岡村さんのひらめきから、新しいパンが次々と生まれる。幼少期からの菓子作りの経験と長年のパン作りの知識が、ここで存分に生かされている。
店でパンの販売を始めてから約2年間で作られたパンの種類は、少なく見積もっても何百種類にも及ぶという。店を訪れる度に新商品が並び、季節の素材を使ったパンも登場する。岡村さんは直接、兵庫県の産地に足を運んで素材を買い付けているという。「お客さんの日常に少しでも喜びやわくわくを増やせたら」と話す岡村さんの思いがパンに込められている。
2024年秋にはキッチンの改修工事を実施、パンの焼成能力が上がり多くのパンを焼くことができるようになった他、イートインのお客さんのリベイクも迅速に対応可能となった。今後も季節の変化に応じた新たなメニューを開発予定なので、ぜひ訪れていただければ」と岡村さんは呼びかける。

◆la Marronnier pek (ラ マロニエ ペク)
兵庫県神戸市中央区下山手通2-11-5 ザ・ビー神戸 B1
TEL 078-332-1160
営業時間:12時~20時(日曜~火曜定休、土曜は18時まで)※時期によって変更あり

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