兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1、TEL 078-262-0901)で6月6日、同館開館10周年記念展「カミーユ・ピサロと印象派-永遠の近代」が始まった。
フランス印象主義の探求に生涯をささげた「真の印象派」といわれる画家、カミーユ・ピサロ。郊外や都会の自然の風景やそこに生きる人々を堅実な画面構成と明るい色彩で描き出したピサロの油彩画・版画・素描など89点と、モネやルノワール、ファン・ゴッホら関連作家の作品17点の計106点を展示する。
同展は、国内で約30年ぶりのピサロ大回顧展となり、初期から晩年までの作品を年代別に展示。「オニーの栗の木」(1873年ごろ、第1回印象派展、個人蔵)、「昼寝、エラニー」(1899年、個人蔵)など、自然の風景や人々の暮らしを描いた穏やかな作品が並ぶ。そのほか、点描技法に取り組んだ新印象主義の作品「キューガーデンの大温室前」(1892年、公益財団法人「吉野石膏美術振興財団」)、「チュイルリー公園の午後、太陽」(1900年、サントリー・コレクション)など、ピサロの晩年の到達点ともいえる作品も紹介する。
同日行われた開会式では、同館館長の蓑豊さんをはじめ、井戸敏三兵庫県知事、仏・ピサロ美術館館長のクリストフ・デュヴィヴィエさんらがテープカットを行った。
蓑さんは「印象派といえばルノワール、モネらが有名だが印象派のメンバーの中ではピサロが長老的存在で印象派の王道ともいえる。ピサロという素晴らしい画家を再認識していただければ」と話す。井戸知事は「難しい解釈は必要ない。見たままを楽しめると思う」と話し、「節電の夏、絵を見ながら涼んでいただけるクールスポットとして『兵庫県立美術館に行こう』を合言葉に」とも。
開館時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。月曜休館(7月16日は開館、翌17日休館)。入場料は一般=1,300円、大学生=900円、高校生・65歳以上=650円、中学生以下無料。8月19日まで。