沖縄県石垣市出身の歌手・嶺陽子さんが8月27日、神戸にある琉球創作和食・肉料理店「楽食・愛歌夢館 あぐ」(神戸市中央区神若通2、TEL 078-222-5328)を訪れた。
自らデザインした沖縄の紅型(びんがた)ドレスがトレードマークの嶺さん。歌謡曲演歌と市町村応援歌の2つの「エンカ」の顔を持ち、全国でコンサートや学校琉球コンサートを行っている。これまで、ご当地ソングとは違う市町村からの依頼によって作られた市町村認定歌約300曲を歌い、その曲数は現役歌手では最多を誇るという。ユニークな村おこし・ふるさとおこしの活動を行っていることから「市町村歌の女王」「公務員的歌手」などと称されている。
嶺さんが初めて歌った市町村歌は兵庫県中西部にかつて存在した宍粟郡の町「波賀町(現在の宍粟市)」の「波賀町音頭」。これまで兵庫県の20近くの市町村をはじめ、北は青森から南は沖縄まで全国の認定歌を歌っている。
今年デビュー30周年を迎えた嶺さんがこれまで全国市町村の人たちと交流してきた集大成として、5月23日に「ニッポン」「日本人」をテーマにしたCD「いいね。ニッポン」(カップリング曲「日本うた暦」)を徳間ジャパンよりリリース。日本人の持つ独特の精神文化・風習・感性・美意識・伝統などを歌詞に盛り込み、全国各地・各世代による生方言のほか、英語・中国語・フランス語のせりふでさまざまな人がレコーディングに参加しており、子どもから年輩者までが歌える日本愛唱歌に仕上げた。河村たかし名古屋市長も名古屋弁で参加している。
宮古方言で「友だち」「仲間」を意味する「あぐ」の店主で歌手でもある西生樹さんは、嶺さんがメジャーデビューする前からの友人。嶺さんが歌手を目指すため、船で沖縄を出て降り立ったのが神戸港だったことや阪神・淡路大震災発生時に神戸のホテルで被災したことから、神戸には特別な思いがあるという。西さんの店の近所には、神戸市内およびその近郊に住む沖永良部出身者とその縁故者による組織「神戸沖洲会」の活動拠点「神戸沖洲会館」(宮本通2)もあり、嶺さんにとっては所縁の深い場所になっている。
前日に湊川神社(多聞通3)で行われた「湊川神社夏まつり~献燈祭・菊水天神祭」では、西さんをはじめ地元市民の前で「いいね。ニッポン」の生歌を初披露。ラジオ関西でもレギュラー番組「ハイサ~イ 嶺陽子の歌の散歩道」(毎週水曜、21時45分~22時)を持つ嶺さんの登場に会場が沸いた。
嶺さんは「『いいね。ニッポン』にコンセプトは、日本人・外国人も歌う『ニッポンの愛唱歌』。2020年のオリンピックや大阪万博誘致に先駆けて日本の素晴らしさを歌と音と方言で国内外にアピールできれば」と話す。「これまで市町村認定歌でお世話になった方々と一緒に紅白歌合戦の舞台に上がることも目標の一つにして頑張っていきたい」とも。