神戸発ジュエリーブランド「GenJewelry(ゲンジュエリー)」(神戸市灘区篠原台)が9月1日、創業30周年を迎えた。
ジュエリーデザイナーの田中数人さんは1992(平成4)年、ジュエリー工房を開設し、製作活動をする中、1999(平成11)年に無添加の純銀の塊を一目見て「これでジュエリーを作ってみたい」と思い立ち、無添加純銀ジュエリーブランドとして「GenJewelry」を立ち上げたという。
田中さんは「無添加純銀は、アレルギーを起こしにくい混ぜ物のない純粋なシルバー(SV9999)で、肌なじみに優れ、変色が遅く、抗菌性も脱臭能力がある理想的な素材。繊細なので加工・製品化が難しいが、貴金属を付け慣れていない人や金属アレルギーでアクセサリーができない人にも、ジュエリーを気軽に利用してもらえるのではと製作に踏み切った」と明かす。
取り扱いアイテムは、ブレスレット、ネックレス、ペンダント、リングなどで、主にオンラインショップで販売する。
2017(平成29)年、無添加純銀パーツとプレシャスストーンを組み合わせて花束のような「ジュエリー数珠」「ジュエリー念珠」を新作として発表。発売当初は伝統のある「京数珠」と同様の素材を使って製作していたが、購入者から耐久性についての意見が多かったという。2019年に切れにくい中糸を独自開発し、房を正絹組み紐に替え、改良を加えて美しさと耐久性を兼ね備えたオリジナルの数珠「華数珠」「華念珠」を完成させた。
田中さんは「昭和の終わりから急速に核家族化が進行し、自分の家系がどこの宗旨や宗派に属するかが分からないという人が増えている。さまざま事情で『宗教離れ』を否めない時代背景はやむを得ないとしても、お参りが好きな人たちが自分や周りの人たちの未来を祈願するのはすばらしいこと。宗派様式の縛りなく『仏教数珠』として必要かつ十分なルールを周知させ、宗派を確定できなくなっている時代にマッチした祈りのジュエリーになっている」と話す。
現在、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で「祈りのジュエリー」プロジェクトを立ち上げ、創業30周年と数珠製作5周年を記念した商品の予約販売を行っている。リターンは、華念珠=2万5,000円、3万5,000円、4万5,000円、華数珠=3万8,000円、4万8,000円、5万5,000円の6種類。10月30日まで。
プロジェクト発足の経緯について、田中さんは「数珠製作を始めて5年。伝統数珠が抱えていた多くの難点をクリアして華念珠・華数珠に進化した。購入者から高い評価をもらえ、リピーターも多いため、祈りのジュエリーを将来に継承したい」と話す。