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「目標は世界チャンピオン」-真正ボクシングジム所属の久保隼選手と与那覇勇気選手に聞く

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■ボクシングとの出合い

-ボクシングを始めたきっかけは?
与那覇選手:小学校から空手、中学では柔道をしていたので格闘技が身近だった。高校に入学してから部活動でボクシングを始めた。ボクシングはパンチだけ。シンプルだけど奥の深いスポーツ。

久保選手:父親がボクシングをやっていたことがきっかけ。家にトロフィーが並んでいるのをずっと見ていたこともあり、小学生のころからボクシングをやりたかったが反対されていた。中学2年の時にもう一度ボクシングをやりたいと伝え、中学3年から家で毎日練習をするようになった。高校では部活動でボクシングを始め、キャプテンを務めた。

-初めてボクシングをしたときのことを覚えていますか?
与那覇選手:とにかく面白くてワクワクした記憶しかない。純粋に楽しかった。

久保選手:ボクシングを始めて1カ月したころ、父にスパーリングをさせられた。もちろんボコボコにされて、次の日になっても頭が痛かったくらい。でも、今となっては本当にやる気があるのかを試されていたのではないかと思う。大学へ行ったら指導者になる方が多いボクシング界だが、そのころは世界チャンピオンになることしか考えていなかった。

-プロになろうと思ったきっかけは?
与那覇選手:アマチュアで終わろうと思っていた。大学に入ってプロとスパーリングする機会があって、それが本当に面白かった。お客さんの前で試合する気持ちよさを感じ、先にプロになった友人の話を聞くうちにプロへの転向を決めた。

久保選手:高校2年生の時に指導者になろうと決めた。武元監督からも「後継者になってほしい」と言われていたが、学校に行かなかった時期があり、教員免許の取得が厳しいのではと感じていた。そのことで、先輩でありロンドンオリンピック金メダリストの村田諒太選手に指摘を受けたこともあり頑張っていたが、その後の将来を考えるとつらい時期が続き、約1年ボクシングをやめた時期があった。

■真正ボクシングジム
-なぜ真正ボクシングジムを選んだのですか?
与那覇選手:アマチュアのころ仲の良かった友人が真正ボクシングジムに所属し、先にプロデビューしていた。ほかのジムも考えていたが、見学に行って実際に見てここにしようと決めた。神戸は住みやすく、好きな街。

久保選手:大学を卒業したころ、以前から親交のあった真正ボクシングジムのマルコム選手から連絡があった。練習だけ、と参加していたがやっているうちにやはり自分はボクシングが好きなのだと気付かされた。ほかのジムも考えていたが、山下正人会長から「住むところも仕事も提供するから」とオファーを受け、山下会長とならやっていけると思った。

■ボクサーとしての自分
-強みはどこだと感じていますか?
与那覇選手:リーチは短いが、自分から相手に攻めていくファイタータイプ。相手との相性が悪いと感じる時でも、対峙(たいじ)しているうちに「相手はこのパンチは苦手だな」など考えながら戦う。

久保選手:与那覇選手とは正反対のタイプ。サウスポースタイルは珍しく、相手に嫌がられることが多い。

-現在の戦績は?
与那覇選手:アマチュア時代は春の高校選抜で優勝、インターハイ出場、国体では3位の成績。プロデビューしてからは3戦3勝(3KO)。4月13日に松下IMPホール(大阪市中央区)でプロ4戦目を予定している。気を引き締めて頑張りたい。

久保選手:アマチュア時代はインターハイ準優勝の成績。プロデビューしてからは3戦3勝(2KO)。4月4日に神戸中央体育館(神戸市中央区)でプロ4戦目を予定している。来年にはタイトル戦に挑みたい。

※両選手のチケットに関する問い合わせは真正ボクシングジム(078-335-5157)まで。

-減量方法は?
与那覇選手:普段は好きなものを好きなだけ食べる。減量は試合の1カ月前からカロリーの少ないものを取って夜は抑える。朝や練習前には炭水化物を摂る生活を続ける。そうすると4~5キロは落ちる。試合前の4日間は水分を抑える。

久保選手:普段から節制しているので、食べたいものは気にせず食べるが、量を少なくする。小さいおにぎりでも、少しの炭酸飲料でも、「自分はこれで動ける」と思い込めば動けるもの。食事ばかりを気にしすぎると試合がうまくいかなくても、そのせいにしてしまいそうなので、できるだけ気にしないようにしている。

-試合後のご褒美はありますか?
与那覇選手:いっぱい食べること(笑)。ラーメンが大好きなので、ラーメンの食べ歩きをする。スープまで飲み干すタイプです(笑)。

久保選手:特に考えたことはない。試合が終わったら眠るだけです(笑)。

-相手をたたえるボクシングとは
与那覇選手:誰でもけんかをしたり、拳でぶつかった後は意外とすっきりするもの。本気でぶつかり合い、殴り合ったからこそ、たたえ合えるのだと思う。戦ったら友達。

久保選手:自分もやれるだけの力を出し切って、相手も強かった。それだけだと思う。

■今後について
-どんなボクサーになりたいですか?
与那覇選手:戦うスタイルが前に行くタイプなので、見ている人が面白いと感じて熱くなるような試合をしたい。

久保選手:リスクのあることをすると自分の良さがなくなる。人が見て対戦が面白いと思うよりも、「あいつすごいな」と思ってもらえるようなボクサーになりたい。

-今後の目標は?
与那覇選手、久保選手:世界チャンピオンになること。

■取材を終えて
2月某日、同ジム所属の長谷川穂積選手との走りこみ合宿を前に、忙しい練習の合間を縫って取材に応えてくれた両選手。待ち合わせ場所に現れた2人はおしゃれにも気を使い、愛想よく笑顔で世間話をする様子はどこから見ても普通の青年。だが、ボクシングの話を始めた途端に真剣な表情になり、互いの戦い方について意見し合ったりする様子に熱意を感じた。

沖縄出身の与那覇選手と京都出身の久保選手。出身地に距離はあるものの、高校時代から互いの戦績は耳に入り、名前は知っている仲だったという。互いに「正反対」と言い合いながらも、2人で神戸の飲食イベントに参加するなどプライベートでも仲がいい様子がうかがえる。

「世界チャンピオンになりたい、強くなりたい」と目を輝かせながらも、4月のプロ4戦目をしっかりと見据えている両選手。今後の活躍に期待したい。

真正ボクシングジム

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