映画館「シネ・リーブル神戸」(神戸市中央区浪花町)で1月17日、木村紺さん原作の漫画「神戸在住」を実写化した映画「劇場版 神戸在住」が公開され、主演した藤本泉さんや監督の白羽弥仁さんらが舞台あいさつを行った。
サンテレビジョンの開局45周年記念事業として、また1月17日が阪神・淡路大震災から20年目を迎えることから製作された同作品。地元の映像メディアとして再生のメッセージも込め、「震災の記憶」「いまを生きる」というメッセージを「現代から未来へ」「神戸から全国」に伝えたいという。
当日は、白羽監督、主演の藤本さんのほか、共演者の浦浜アリサさん、松永渚さん、柳田小百合さんが登壇。当日朝のチケット販売前から行列ができるほどの人気で、出演者が登場すると大きな拍手が沸き起こった。登壇した5人は作品のテーマや震災に対する思いなどを丁寧に語った。
1月17日に阪神・淡路大震災から20年目を迎えたことについて、藤本さんは「震災当時は3歳だったので記憶が無いに等しいが、実は私の両親が震災前の神戸に11年ほど住んでいたり、私の親戚が震災を経験していたり、何か神戸の街にご縁を感じている。1月17日というこの日、舞台あいさつで神戸の地に立っていられることに感謝している。そして今回、こういったテーマの作品に出させていただいて、役者の仕事をしている私にできることは作品を通して皆さんに伝えていくということなんだと感じ、そういった意味でも特別な作品になった」と話す。
白羽監督は「つらい思いをした人ほど、震災のことを口に出して語らない。映画の中でも口に出して語る人はほぼいない。それぞれが心の中に秘めている言葉になっていない部分を、皆さんに映像を見ていただき感じていただければ」と話した。
同作品は、テレビ版も地上波でオンエアされたことから、地上波のテレビドラマと劇場版映画を同日公開する国内メディア史上初の試みも展開。テレビ放送版は、宮城、岩手、福島など被災地の放送局のほか、各局での放送が決まっている。劇場版は、「テアトル梅田」(大阪市北区)、「ヒューマントラストシネマ渋谷」(東京都渋谷区)のほか、「神戸映画資料館」(長田区)、「シアターセブン」(東京都淀川区)などでも順次公開する。