兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1)ギャラリー棟で7月14日、「絵本原画展 いもとようこの世界」が始まった。
兵庫県出身で東京都在住の絵本作家・いもとようこさん。金沢美術工芸大学卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入る。独自に切り開いた貼り絵に着色する技法で描かれた作品は400冊近く、子どもから大人まで多くのファンに支持されている。「ねこの絵本」(講談社) 「そばのはなさいたひ」(佼成出版社)でボローニャ国際児童図書展エルバ賞、「いもとようこ うたの絵本」(講談社)で同グラフィック賞を3年連続受賞し、国際的にも高く評価されている。
「日本の名作シリーズ」「世界の名作シリーズ」のほか、400万部を突破する「あかちゃんのためのえほんシリーズ」やNHK教育テレビ「いないないばあっ!」の童謡アニメなどの全作品の中からオリジナル原画315点を展示。6つのコーナーによる構成で紹介する。2016年のパリ展、ボローニャ展、昨年の上野の森美術館に続く巡回展は生まれ故郷の兵庫をもって終了。
会場では、「かぐやひめ」「おむすびころりん」「はだかのおうさま」「青い鳥」「いとしの犬ハチ」など9作品のDVDを上映するほか、いもとさんに向けたメッセージを書くコーナー「ねこポスト」を用意。入場チケットは、4種類の絵柄から選べる(前売り券と交換も可能)。
今月28日・29日、8月4日・5日・11日12日、9月1日・2日(各回11時~)はサイン会を開催。当日会場内で作家著作本を購入した各日先着100人に整理券を配布する。8月5日(13時~、約30分、参加無料、同展入場料は必要)はミュージアムホールで読売テレビアナウンサーによる「絵本読み聞かせ」も予定。整理券は当日10時より配布する。
いもとさんは「絵本は子どものためというよりも大人のために書いているかもしれない。ひらがなで書かれた短いお話だから小さい子どもが読むものと決めつけず、誰にでも分かりやすい幅広い年齢層の人が読むことができるものとして、必要としている人に読んでもらいたい。もしかしたら絵本は大人にこそ必要なのでは」と話す。「子どものころの経験が人の一生をつくってしまう気がする。振り返って考えると高校生になるまで過ごした兵庫県での経験が私の描く絵を生んだのかもしれない」とも。
開館時間は10時~17時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入場料は、一般=1,000円、高校・大学生=800円、中・小学生=500円、小学生未満は無料。9月2日まで。