新型コロナウイルスによる国内感染拡大防止のため臨時休園中の神戸市立王子動物園(神戸市灘区王子町)が5月19日、ジャイアントパンダ「旦旦(タンタン)」が故郷の中国・四川省へ帰ることを発表した。
1999(平成11)年8月11日、日中共同飼育繁殖研究のために中国野生動物保護協会と「日中共同飼育繁殖研究協議書」を締結。翌年7月16日にタンタンが来園した。2010(平成22)年6月9日に5年間の延長を定めた「日中共同研究補充協議書」を締結。2015(平成27)年7月13日には再延長を定めた「日中共同研究延長協議書」を締結した。
阪神・淡路大震災に見舞われた市民を元気づけるために来神したタンタン。約20年の間、多くの市民に愛され、今では同園の一番人気となった。
7月15日の協定期限を迎えるに当たり、同協会から同園へ「高齢となったタンタンを、体への負担が少なく多くの仲間が暮らす生まれ故郷で過ごさせたい。中国は高齢パンダの飼育経験も豊富なので任せてほしい」と話があったという。上山裕之園長は「この要請がタンタン自身のことを一番に考えた申し入れと判断し、生まれ故郷へ帰ってもらうことにした」と明かす。
感謝の意を表し、返還期限までに「ありがとう『タンタン』キャンペーン」を企画。園内でお別れイベントを行うほか、寄せ書き、思い出の写真募集、記念グッズの販売なども予定する。
久元喜造神戸市長は「タンタンの愛らしい姿や優しい雰囲気が多くの市民の心を満たしてくれた。タンタンを見た子どもたちが成長し、大人になってまた自分の子どもたちを連れて来たように、世代を超えて愛されていたと感じている。中国への帰郷は、神戸市民にとり非常に寂しいことだが、自然環境に恵まれ、多くの仲間が暮らす生まれ故郷でこれからも元気に過ごしてほしい」とコメントを寄せた。
返還日時やお別れイベント、観覧終了時期などについては、今後の状況を見ながら慎重に検討し、決定次第ホームページやSNSで報告する。