「西村屋フードコネクト」(神戸市中央区磯上通7、TEL 078-232-3663)が中学生向けの食育授業を始めて1カ月がたつ。
城崎温泉の老舗旅館「西村屋」の流れをくむ日本料理店を姫路と神戸で4店舗経営する同社。食育授業では三宮・磯上にある「西村屋 和味旬彩(わみしゅんさい)」料理長の穐原国和(あきはらくにかず)さんが講師として和食の授業を行う。
同社営業部長の西村勇人さんは「食の選択肢が多い現代で、和食という日本の伝統文化を子どものうちに深く知ってもらうことで、和食をより身近に感じてもらいたいと考えていた」と話す。
神戸市商工会議所に相談を持ちかけ、神戸市教育委員会の担当者とつながったことで食育授業が実現した。
第1回は和食の基本である「出汁(だし)」をテーマに、神戸市立星陵台中学校の家庭科の授業で行った。前半20分は西村さんによる、だしについての基本やうま味の仕組みなどの座学、後半20分は穐原さんがだしの取り方を実習形式で行った。
実習では、穐原さんが「昆布」「かつお節」「昆布+かつお節の混合」の3つのだしの取り方を行い、生徒がそれぞれを飲み比べ、色味やうま味、香りの違いを確かめた。みりん、料理酒、しょうゆでだしを調味し、違いを飲み比べした生徒たちは口に入れた瞬間「おいしい」と驚きの声を上げていた。
19歳のころから和食の世界に入ったという穐原さんは和食の魅力について「和食は魚、肉、野菜など食材を何でも使うことができることが自由で楽しく、さらにシンプルな味付けのため体にも良くヘルシーなところに魅了された」と話す。「今回の食育授業で未来ある子どもたちに和食のおいしさや楽しさを共有できたことがうれしい。和食はもちろん、西村屋のファンを増やしていけたら」とも。
西村さんは「食育授業は学校からも好評で、依頼も多くいただいている。今後は魚のさばき方などの実習も考えている」と話す。「生徒の皆さんは『家に帰ってすぐに和食をリクエストした』『授業が終わった後も生徒同士でだしについて話をした』とのことで、やりがいを感じた。今回のように、だしのうま味の理由をきちんとレクチャーしてから試飲してもらうことで、よりおいしさを感じてもらえたと思う。和食の繊細な味を伝え、和食や料理の世界に興味を持つ子どもたちを増やしていけたら」と意気込む。