建築家・隈研吾さんをゲストに迎えた講演会・シンポジウム「神戸三宮の未来を考える」が7月13日、神戸市中央区文化センター(神戸市中央区東町)で開催された。
隈研吾さんが手がけられた「自然が感じられるヒューマンなまちづくり」の事例を多数紹介
商業者がまちの未来を考える機会として「三宮センター街2丁目商店街振興組合」(三宮町2)が企画した。200人の定員枠に約1300人の応募があった。
講演会の冒頭、隈さんは「21世紀のまちづくりは、ヒューマンなまちづくりであるべき」とし、高知県梼原町の事例を中心に紹介。木造芝居小屋「ゆすはら座」の保存活動への参加がきっかけで関わり続けている同町のまちづくりについて話した。
続いて、これまで隈さんが手がけた他のまちづくり事例を紹介。南三陸町(宮城県)の商店街、長岡市(新潟県)の市役所、国立競技場、フランス・ブザンソンの文化センター、マルセイユの現代美術センター、米国・ポートランドの日本庭園、スコットランド・ダンディーの美術館、デンマーク・オーデンセのアンデルセン博物館、コペンハーゲンの市営プールなど、自然が感じられる「ヒューマンなまちづくり」の参考となる具体例について話した。
その後のシンポジウムには、久元喜造神戸市長や、吉田尚人梼原町長らも参加し、まちの未来を議論。久元市長は、作家の陳舜臣さんが阪神・淡路大震災直後に寄稿した「神戸よ」の一節を紹介し、「神戸には高層ビルの林立は似合わない」と話した。三宮センター街2丁目商店街振興組合理事長の久利計一さんは、三宮は神戸の玄関口で「長男」と表現し、中心部にある「さんプラザ」「センタープラザ」「センタープラザ西館」を「将来的に木造の建造物にできれば」と構想を話した。隈さんは「高層やタワーではない。ヒューマンさをどう守るのかが大切だ」と話し、「高いものを避けてきた都市が栄えている」と神戸・三宮のまちづくりの方向性を示唆した。
シンポジウムの進行役を務めた振興組合副理事長の藤井淳史さんは「コロナ禍で延期になり3年越しの開催だったが、その間の変化も踏まえた有意義な内容になった」と振り返る。「これで終わるのではなく、スタートとして引き続き取り組んでいきたい」とも。
ユーチューブでイベントのアーカイブ動画を配信している。