神戸らんぷミュージアム(神戸市中央区京町、TEL 078-333-5310)は現在、企画展「沙羅の灯(あか)り」を開催している。
香川県在住の造形家・中井弘二郎さんの、鉄をメーンに制作したオブジェやランプなどのアイアンアート作品30種類約60点を展示する同展。「鉄の冷たくて硬いイメージを払しょくしたい」(中井さん)と繊細さを大切にした作風が特徴。四つ葉を表現した作品では、茎の部分や葉の部分に金属だからこそ可能であるきゃしゃさを表現。季節を感じさせる蚊取り線香置きや風鈴なども展示する。
幼いころからプラモデル作りが好きだったという中井さんは10年前、知人の紹介で鉄のシェルフを制作している人との出会いから作品作りを始めた。当初は近所の鉄工所の職員から機械の使い方を教えてもらうこともあったという。「鉄は、それだけで作り上げるよりもほかのものと組み合わせることでもっと生きる素材だと思う」と、木やガラスなど異素材同士の融合にも挑戦している。
同館と中井さんの出会いは3年前。神戸・三宮で開催していた中井さんの個展会場前を同館の伊藤正則館長が通りかかったことがきっかけだという。伊藤館長は「その時に作品を見せてもらって、ぜひ当館でも企画展をやりましょうと話し、3年越しで思いがかなった」と笑顔をみせる。
中井さんは「初めての仕事をしたとき、こういう生き方もあるんだと思った。好きなことをするのは新鮮さとの出会いが多く、いざ始めてみると自身の周りにもたくさんの作家がいて仲間ができた」と話す。「今後は車のボディーなどに用いられるFRPという素材で、鉄では表現が難しい形にも挑戦してみたい。将来的にどういったものを作っていきたいかは模索中だが、常に何かを作っていたい」とも。
開館時間は10時~17時。月曜休館。入館料は、大人=400円、小人(中学生以下)=200円。8月8日まで。