神戸皮切りに全国24地域で開催へ
制作:神戸経済新聞編集部
「クリエイターの地産地消」で地域創生の実現を目指すプロジェクト「Rethink Creator Project」の地域セミナー第1弾が3月9日、神戸・旧居留地のベイ・ウイング神戸ビル(神戸市中央区江戸町)10階にあるコミュニティー型ワーキングスペース「ON PAPER」で開かれました。
主催はクリエイターの育成や仕事のマッチングなどを通じ、クリエイターに新たな働き方を提案するクリエイターズマッチ(東京都渋谷区)。2018年よりJT(東京都港区)が展開しているプロジェクト「JT Rethink PROJECT」とコラボレーションを開始し、昨年から全国のクリエイターに向けて、「視点を変えて考え(Rethink)」「考えを形にし(Creative)」「伝えることができる人財(Rethink Creator)」を生み出していく新プロジェクト「Rethink Creator PROJECT」を実施しています。
昨年は、経験の浅いクリエイターや、ライター・デザイナー経験のないクリエイター「予備軍」に対して、全国9地域でセミナーを開催。「学びの場(セミナー)」と「挑戦の場(クリエイティブコンテスト)」の提供を通じて、現在は2500人がプロジェクトに参加登録しています。
2年目となる今年の地域セミナーは、規模を全国24地域に拡大し、神戸を皮切りにスタート。「デザイン都市・神戸」を掲げ、クリエイターの活動や場所を支援する神戸市は、同プロジェクトのコンセプトに共感し、今回共催が実現しました。ほかの地域でも自治体との共催や後援の話が比較的スムーズに進み、今年は地域連携での取り組みに発展しているといいます。
セミナー当日は20~40代を中心に10代~50代の男女60人が参加。クリエイターズマッチの羽室吉隆さん(Creator Platform事業部部長)進行の下、「Rethink講座」「Createワークショップ」などが行われました。
「Rethink講座」では、地元神戸を外側から見た印象だけでなく「内側から見る」「注目して見る」「印象を見る」という3つの視点を使うことで、これまで気が付かなかった地域の魅力を発見し、伝えることができるということを紹介。羽室さんからのさまざまな問いかけに参加者らは積極的に答えていました。
10代男性は「クリエイティブな内容を生み出すにあたり、違う視点で物事を考えることが重要だと感じました」、40代女性は「同じ写真を見ても、たくさんのタグやキャッチが出てきて自分の言葉の少なさを感じました。今後SNSで発信する上で役に立ちました」と感想を寄せました。
「Createワークショップ」では、「Rethink講座」で学んだことを神戸で撮影した写真のコピーを考えることで実践。2~3人のチームに分かれた参加者らは「メリケンパーク」「元町高架下」「ハーバーランド」など見慣れた神戸の風景を「当たり前だと思っていたこと」「意外と知られていないこと」「ちょっと残念なこと」など見方を変えながら、より魅力的に伝えるためのコピーを熱心に考えていました。
20代女性は「他の参加者の意見も聞けてこれからのモチベーションにつながる1日になりました」「誰でも気軽にクリエイトできるんだと思いました。短い時間でもたくさんの方がアイデアを共有し面白いものを生み出す過程は楽しかったです。こんな場がたくさんあるといいなと思いました」、50代男性は「アイデアをブラッシュアップするためには、他の意見がすごく重要」、40代男性は「基本的な発想の方法を知ることができて良かったです。いろいろな発想ができる人が神戸から生まれるといいなと思いました」と感想を寄せました。
最後に行われたワークショップの成果発表では、各グループに与えられた画像に相応しく、神戸をアピールできるコピーを載せた作品をお披露目。1時間程の講座とワークショップから予想以上の成果を得ることができ、参加者たちは満足そうな表情を見せていました。
神戸セミナーは申し込み定員を上回る応募があったため、4月1日に追加セミナーが行われます。
神戸では、会場となった「ON PAPER」を運営するイディーと神戸市も連携して、神戸だけの特別プログラム「Rethink Creator PROJECT 神戸特別版」も実施。デザインのスキルを磨き仕事につなげたい人、デザインの基本を改めて学び直したい人、これから本格的にデザインを学びたい人などを主なターゲットに「誰もがクリエイターになれるまち」を目指し、都市型創造産業に関わる人材の発掘と育成のためのプログラムを実施します。
「Rethink Creator PROJECT」オリジナルTシャツを着て登場した神戸市経済観光局長・小原さん
特別プログラムの説明会冒頭で登場した神戸市経済観光局長の小原一徳さんは「神戸セミナーは予想以上の反響があり申し込み定員を上回ったと聞いています。多くの方に神戸でクリエイターを目指していただけるのは本当に心強いこと。参加される皆さんのパワーとエネルギー、関係者の皆さんの協力、そして神戸市もお手伝いしたいと思っています。講座で技術を身に着けていただくだけでなく、仕事に結びつけることも大事。皆さんが本気になり、興味を持って積極的に取り組みプロのクリエイターとして神戸で活躍いただく、これが私たちの望み」と力を込めました。
主催者であるクリエイターズマッチの代表取締役・呉京樹さんは、神戸に対して特別な思いを持つそうです。
「18歳の時に阪神・淡路大震災で被災をしました。その後、震災の復興工事に携わってきたことで神戸をもっと良くしたいという気持ちが強くなっていきました。ものづくりを突き詰めていき、デザインなどを勉強していく中でクリエイターが活躍できる場を増やしたいと考えるようになり、13年前にクリエイターズマッチという会社を作りました。『デザイナーを育てる』『仕事の提供』『働く環境をよくする』という3つをテーマに『クリエイターが働きやすい世界の創造』を理念に走り続けています。地震から街を復興するために働いてきて、もっと神戸をよくしたいという思いが、今回のような形で実現しつつあることがとても感慨深いです。街が良くなるにはコンテンツがよくならないといけない」といい、デザイナーが担う役割は大きいと話す。
協賛の理由について、「JT Rethink PROJECT」リーダーの嶋田有里菜さん(JTたばこ事業本部次長)は「JTではこれまでマナー啓発活動や分煙コンサルタントなどの活動をしてきましたが、嗜好品であるたばこも『Rethink(視点を変えて考える)』しても良いのではないかと思い始めています。嗜好品はなかなか変わっていかないものですが、それすら見直してしまっても良いのではないかと。さらにたばこ以外の社会課題や、日本文化なども『Rethink』してみても面白いのではないかと思い、このプロジェクトを通じて少しずつ活動範囲が広げています。昨年からいろんな地域でセミナーを開催していますが、2年目となる今回は本当に多くの方が集まってくださっています。こうやってプロジェクトが大きくなっていくんだなと実感しています」と手応えを明かした。
「Rethink Creator Project」では、セミナーでの学びを生かした「挑戦の場」として、誰でも参加できるコンテストを年3回開催。次回は地域セミナー第1シーズン後の4月上旬~5月中旬に「Rethink Creator 賞」「JT Rethink 賞」2つのテーマに沿った作品を募集します。
羽室さんは「コンテストはどなたでも参加できますが、セミナーの中ではコンテスト応募テーマについての説明や例題作品の講評なども行います。コンテストへのチャレンジを考えている方にはぜひ参加をお勧めします」と呼びかけています。
今後のセミナー開催日程について
米子セミナー
【定員】40名
【日時】3/30(土)14:00~16:00
【会場】米子市文化ホール
【住所】鳥取県米子市末広町293
第2回 神戸セミナー(神戸市共催)
【定員】50名
【日時】4/1(月)18:30~21:30
【会場】ON PAPER
【住所】兵庫県神戸市中央区江戸町85 ベイ・ウイング神戸ビル10F
大阪セミナー
【定員】40名
【日時】4/7(日)14:00~16:00
【会場】OBPアカデミア
【住所】大阪府大阪市中央区城見2丁目1 城見2-1-61 ツイン21 MIDタワー9階
萩セミナー(萩市後援)
【定員】40名
【日時】4/13(土)14:00~16:00
【会場】明倫学舎復元教室
【住所】〒758-0041 山口県萩市江向602
熊本セミナー(熊本市後援)
【定員】50名
【日時】4/16(火)18:30~20:30
【会場】くまもと県民交流館 パレア
【住所】〒860-0808 熊本県熊本市中央区手取本町8-8-9
札幌セミナー
【定員】30名
【日時】4/20(土)13:00~15:00
【会場】デジタルハリウッドSTUDIO札幌
【住所】北海道札幌市中央区南2条西3丁目12-2 トミイビルNo.37