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インタビュー2016-05-12

「発達障がい児をもつ家族の生活水準をワンステップ向上させたい」 Leaf三宮教室の吉田教室長に聞く

 発達障がいの子どもの学びを支援する幼児教室・学習塾として「Leaf(リーフ) 三宮教室」(神戸市中央区磯上通4)が5月1日、オープンした。文部科学省の発表によると、特別支援学校や特別支援学級に在籍している幼児児童生徒とともに通級による指導を受けている児童・生徒も年々増加している中、「障害のない社会をつくる」というビジョンの下、障がい者向け就労支援事業や子どもの可能性を広げる教育事業を全国展開するLITALICO(東京都目黒区)が運営する。特集では関東の一部地域と大阪・同教室のエリアマネジャーで同教室長の吉田響さんに話を聞いた。

■発達障がい児の教育環境

教室長の吉田響さん(以下吉田さん):文部科学省の調査(2012年「通常の学級に在籍する発達障がいの可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」より)では、公立学校の通常学級に通う小中学生の6.5%に発達障がいの可能性があると推定しているが、こうした子どもたちに対する教育環境は、十分な選択肢が用意されているとは言い難い状況にある。幼少期にその特性が周囲に理解されず、適切な教育環境がなかったことで、「友達とコミュニケーションがとれず集団に馴染(なじ)めない」「勉強についていけない」など失敗体験が積み重なり、自己肯定感が大きく低下した結果、ニ次障がいとして精神障がいを発症するケースも少なくない。

発達障がいにはさまざまな発達上の偏りがあるが、早期から本人が障がいを受容し、自身の特性との適切な寄り添い方を学ぶことで困り感が減少し、社会の中で生き生きとした生活を送ることができるのでは。しかし、日本には発達障がいの子どもたちの支援を行う機関が十分に存在せず、現状はその可能性が未然に摘まれている状況にあると感じている。

■事業の背景

吉田さん:2011年に始めた当事業は、注意欠陥多動性障害(ADHD)やアスペルガー症候群、自閉症など発達に課題のある子どもでも安心して通える場所として開校したもの。現在では首都圏と大阪府の約60教室で展開、約8000人が利用しており、一部の教室では待機児童が出ている。学習面の支援のほか、子どもの発達段階に応じた生活スキルや対人コミュニケーションなどのソーシャルスキルを高める支援を通して、全ての子どもたちがより楽しく学べ、達成感を得られるように、個々の特徴や成長に合わせて、教え方や環境を工夫している。

■ 「Leaf三宮教室」について

吉田さん:当事業で初めての兵庫県での開設となった「三宮教室」は、複数の路線から徒歩でアクセスが可能な利便性の高い場所に位置している。児童福祉法に基づく「児童発達支援事業」(未就学児対象)・「放課後等デイサービス事業」(就学後~18歳対象)として運営しており、国と自治体からの給付を受けられるため、利用者は週1回の利用の場合、月平均4,500円程度の実費でサービスを受けることができることも特徴の一つ。さまざまな特性のある子ども一人一人に最適な支援プランを考え、子どもが伸び伸びと楽しみながら成長できる学び方や環境を提供していきたい。
 ※サービスの利用には市区町村や保健所などで通所受給者証の申請手続きを行い、通所受給者証を取得する必要がある。

■関西で2カ所目の開設

吉田さん:「三宮教室」は今年1月に関西で初めて開設した「梅田教室」(大阪府大阪市)に続き、関西エリアで2カ所目の開設。これまでもさまざまな地域にお住まいの方から「Leafを作ってほしい」と要望を頂いており、より幅広いエリアでの開設も検討していきたい。

■支援の方針について

吉田さん:支援は、まず子どもの発達の課題に対して行動観察や保護者への聞き取りを通し、得意・不得意、好き・嫌い、過ごしにくさなど問題の背景にある要因から明らかにすることから始まる。その結果を基に、子ども一人一人に個別の支援計画を作成し、子どもが主体的に楽しく学べるよう開発された独自の教材などを用い、個別と集団を組み合わせた支援を実施する。

■子どもの主体性を育む支援

吉田さん:まずはお子さま自身が学ぶことに興味を持ち、(物事を)知りたいと思う気持ちが大切。やりたくないことをやらされるのではなく、お子さまが自発的に適切な行動をとれ、学びやすい環境を作る。一つ一つの成功体験が次の学びにつながる。

例えば未就学児向けには、「楽しい」「うれしい」という気持ちを感じながら学ぶことができるようなプログラムを設定。教材そのものや、シール集めによるゲーム性の楽しさを通して学んでもらうなどの工夫をしている。

■一人ひとりに合った学び方を提供

吉田さん:一人一人、学び方は異なる。色分けでひらがなの筆順を覚えるのが得意な子もいれば、「たて、よこ、ぴっぴ」などと音で覚えるのが得意な子もいる。「視覚からの情報のほうが理解しやすい」「絵や写真、図だと分かる」子には視覚的工夫がなされた教材で授業を行うなど、個別に分かりやすい学び方を選んで進めていく。認知の仕方・学び方を分析し、最適な学び方の提供、楽しく学べる仕掛けづくりを行っている。

■開設の反響

吉田さん:オープンまでの約1カ月で問い合わせは約220件に上る。「児童発達支援事業」は3歳~年長の子どもが多く、「放課後等デイサービス事業」は小学生・中学生・高校生と利用者は幅広い。県内を中心に、遠いところでは和歌山県や岡山県からも問い合わせを頂いている。

■スタッフ数・教室数・現在の生徒数

吉田さん:現在スタッフは17人。教室内には「児童発達支援事業」用3部屋、「放課後等デイサービス事業」用3部屋、合わせて6部屋があり、パステルカラーでかわいらしくデザインした。現在は、オープン前に問い合わせのあった約100人が利用している。中には以前関東の同施設を利用していて引っ越しで関西に居住している方から再利用したいとの問い合わせも。

■利用について

吉田さん:親がいると緊張してしまう子もいるので、教室での学習中は親の姿が見えないようにしている。親御さんには教室をのぞけるマジックミラーを使って外から見ていただくか、貸し出しているiPadやサロンのモニターでお子さんの姿を見ていただければ。親御さんがお子さんの成長を見て、「できた」という喜びを共に感じてほしい。

■受付・申し込みの仕方について

吉田さん:まずは電話で問い合わせを頂き、体験教室に参加してほしい。申し込みをして、すぐにサービス開始ではなく、その子に合わせてマンツーマンがいいのか集団がいいのか、どういった学び方が合うのかなどを見極め、何がベストの方法かを探っていきたい。(児童発達支援事業 TEL 078-241-2035/放課後等デイサービス事業 TEL 078-241-2036)。

■利用者から寄せられた声

吉田さん:体験に来た方から後日電話が掛かってきて、「教えてもらったことができるようになった」などとうれしい声を寄せていただくことも。お子さんが職員に向かって「先生」と言えたことにびっくりしている方もいた。Leafを知っていただいていて「神戸にできるのを待っていた」と言っていただいた方も。

■利用を考えている方へメッセージを

吉田さん:関東から開始し、これまでに約8000人の利用者のケースについてのノウハウがあるサービスなので、関西でも経験を生かしていきたい。発達障がい児の生活に悩みを抱えている方は、いつでも気軽に連絡いただければ。一口に発達障がいと判断されても症状は、その子によってさまざま。学校の先生の教え方では理解できなくても、その子にとって理解しやすい最善の学び方を探していきたい。何が一番分かりやすいのか日々の授業を通して模索し、子ども自身にも小さな積み重ねの中で体得していっていただき、親という一番身近な存在が子どもとどう関わっていくかの家庭内療育につなげたい。当施設を通して発達障がい児をもつ家族の生活水準をワンステップ向上させたい。

■取材を終えて

神戸・磯上エリアの雑居ビル3階にある「Leaf三宮教室」。エレベーターを降りて教室を目指すとパステルカラーのかわいらしいデザインの部屋が見えてくる。「利用者が少しでも興味を持ち楽しめる環境を提供したい」(吉田さん)と室内の配色にもこだわった。

教室の外でも学んだ知識やスキルが生かせるように、幼稚園や保育園、学校、行政機関、医療機関、その他の支援機関など、子どもを取り巻くあらゆる環境との連携やサポートも積極的に行っていくという同教室。「児童発達支援事業」は43人、「放課後等デイサービス事業」は52人が利用しているが、各事業60人程度までは受け付けを続けるという。今後も前進を続ける同施設に注目していきたい。

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