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神戸チキンジョージで「ひとりぼっちの卒業式」-震災年生まれの少年が上京

ケーキカットをする横田徹さん、桐野泰さん、児島勝専務(左から)

ケーキカットをする横田徹さん、桐野泰さん、児島勝専務(左から)

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 神戸のライブハウス「CHICKEN GEORGE(チキンジョージ)」(神戸市中央区下山手通2)で3月3日、音楽壮行会「ゆたかのひとりぼっちの卒業式」が開催された。

ギターを演奏する桐野泰さん

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 阪神・淡路大震災の年に誕生し、プロギタリストになる夢を抱いて今月5日に生まれ育った街・神戸を離れて上京する桐野泰さん(18)。「音楽の聖地」と呼ばれる同ライブハウスを地元神戸でお世話になった人たちとの別れの場に選んだ。

 小学5年生で初めてエレキギターに出会った泰さん。幼いころからおとなしく控えめな性格で、ギターをはじきながら仕事で遅くなる母・由希子さんの帰りを待っていたという。イベント開催のきっかけは、昨年の泰さんの誕生日に同店の児島勝専務と出会ったことから。母子家庭の事情や震災の年に生まれたこと、新聞奨学生で働きながら奨学金で東京の「ESPミュージカルアカデミー専門学校」ギター科に進むことを話す中、児島さんの提案で今回のイベントが実現した。

 当日は、泰さんが進学する専門学校ギター科の講師・横田徹さんをはじめ、ツインボーカルユニット「東京梅桜」やタレントのナジャ・グランディーバさん、地元で活躍するアーティストがステージを披露。サプライズでタレントの長江健次さんもお祝いに駆け付けメッセージを送った。泰さんは来場者が見守る中、音楽を通じてお礼とお別れ、これからの決意表明を行った。最後は、母・由希子さんから歌のプレゼントもあり会場を感動の渦に巻き込んだ。

 母・由希子さんは「震災当時、家も仕事も全て失い、子どもを育てる自信も失っていた。産むことすら諦めようとしたが、家族や友人に支えられ今がある。泰に起きた悲劇は幾つもあったが、どんな時でも私のそばで笑顔いっぱいで支えてくれ、何をする時もどこに行く時も常に一緒に過ごしてきた」と話した。泰さんは「大勢の方に祝っていただきとても幸せ。神戸が大好きなので、東京に行っても神戸愛を忘れない」と力を込めた。

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