神戸・旧居留地のカフェバー「スジャータ」(神戸市中央区三宮町3)で7月16日、大人の悩みを「浄化」する一夜限りのイベント「幻の説教スナック・わたしの浄化待ち」が開催された。
「ある飲み会の場で、荷物や責任を背負いすぎた大人には『カタルシス(浄化)』が必要とのキーワードが出てきた」と話す同イベント企画者の吉川公二さん。「小柳ルミ子の『私の城下町』にちなんで『私の浄化待ち』というフレーズで、ママが悩みを聞く一日限りの場を作って真剣に遊んでみようと思った」という。
カウンターに立つママには、企画が生まれた場に同席していた「ルリコプランニング」社長の星加ルリコさんと「マダムキキのお店」オーナーの徳本賀世子さんが名乗りを上げ、吉川さんが「チーパン」として店の入り口で参加者を迎え入れた。
イベントでは、参加者が2人のママのどちらかを指名し、悩みを相談。参加者の一人は、ママの「斜め上からの説教」で「今までとらわれていた考えの根底を揺り動かされ、自分の悩みの小ささに気付いた」と話した。悩みが次々と「浄化」された参加者たちは、小柳ルミ子の「私の城下町」を合唱。その後、手元の短冊に「浄化」のきっかけとなった「ご託宣」を書いて壁に張り出し、爽やかな笑顔で参加者同士の交流を楽しんだ。
参加者の一人で、イタリアに関する書籍を出版している40代男性は「家族の悩みを打ち明けたが、『全てを捨ててイタリアに行け』との、責任を負わない助言に逆にさっぱりした」と笑顔で話す。大阪でデザイナーをしている30代女性は「あるがままの自分で良いのだと心が軽くなった」とも。
ママに扮(ふん)した星加さんは、「普段はいきなり『人生楽しいですか』などと切り出すことはないため、すごく面白い。こういう憑依(ひょうい)芸は病みつきになる」と話す。徳本さんも、「普段はクリエーターやアーティストの方とやり取りをしているが、今日はいろんな方の悩みを直接ぶつけていただき、とても刺激的。瞬発力と敬意を持ってお応えし、喜んでいただけたので、自分も浄化された気分」と晴れやかな表情で答える。
吉川さんは「今まで大人の男性・女性が真剣に遊べる場がありそうでなかったので、1日だけでも作ってみたいと思ってやってみた。こういう場を作ると面白がって集まってくださるのが神戸の魅力」と話す。「次回の開催はまだ分からないが、もっと神戸に住んでいる人が自由に遊び、人を巻き込めるような企画をすることで、もっと楽しいまちにしていければ」とも。