阪神・淡路大震災から20年目にあたる来年1月17日、木村紺さん原作の漫画「神戸在住」を実写化した映像作品が地上波と劇場で同時公開される。製作は、サンテレビジョン(神戸市中央区港島中町6)。
「月刊アフタヌーン」(講談社)で1998年~2006年に連載され、日本漫画家協会賞新人賞を受賞した同漫画。開局45周年記念ドラマとして実写化したサンテレビによると、地上波のテレビドラマと劇場版映画を同日公開するのは国内メディア史上初の試みという。
監督は「She's Rain」で神戸の街を舞台に高校生の淡い青春の刻を描いた白羽弥仁さん。脚本は安田真奈さんが手掛ける。主人公の辰木桂役には藤本泉さん。共演者は、菅原永二さん、浦浜アリサさん、松永渚さん、柳田小百合さん、松尾貴史さん、田中美里さん、仁科貴さん、愛華みれさん、竹下景子さんなど。
神戸の街が変わらずに持ち続けるフラットな空気と、震災を経た街や人々の記憶が織りなす優しさや痛みを映像化したという同局。地元の映像メディアとして再生のメッセージも込め、「震災の記憶」「いまを生きる」というメッセージを「現代から未来へ」「神戸から全国」に伝えたいという。
テレビ放送版は主人公の辰木桂の視線から神戸を捉えるように描く。劇場版は、テレビ版に桂と友人たち3人を加えた4人の視線で神戸を捉えるように描き、阪神・淡路大震災のあった1月17日から劇場公開する。
撮影は今年5月下旬~6月初旬、神戸市を中心にオール神戸・阪神間ロケで敢行。東遊園地(加納町6)をはじめ、神戸山手大学・短期大学(諏訪山町)、「メリケン画廊」(波止場町)、喫茶店「カフェ・ド・ジェーム」(栄町通1)、商業施設「ミント神戸」(雲井通7)、北野坂、夜景・眺望スポット「ヴィーナスブリッジ」などが舞台となった。
同局報道制作・編集担当の門前善康さんは「当局の報道が撮影した震災当日の映像も少し入っており、20年がたちこの作品で何を一番表現したいか、震災というものをどうとらえるかなど、作品に関わっている人々それぞれの思いもあり、難しい部分があった」と振り返る。
企画プロデューサーの大西昭彦さんは「震災20年がこの作品を作るきっかけだったが、神戸の今ここにある姿をより広く知っていただくためにも青春物語として描いた。失恋、別れ、災害などで傷を受けた人と傷を受けた街がオーバーラップして、見る人それぞれが何かを感じていただければ」と話す。
テレビ版の放送時間は、20時~21時30分。劇場版は、「シネ・リーブル神戸」(浪花町)、「テアトル梅田」(大阪市北区)、「ヒューマントラストシネマ渋谷」(東京都渋谷区)など、全国の映画館で順次公開する。