神戸国際会館（神戸市中央区御幸通8）11階の映画館「神戸国際松竹」で1月14日、神戸を製作の拠点にした映画「繕い裁つ人」の試写会が行われ、主演した女優の中谷美紀さんと監督の三島有紀子さんが舞台あいさつを行った。

　今年の3月1日～16日に神戸市を中心に兵庫県オールロケで撮影し、主人公の洋裁店店主・市江役を中谷さんが演じる同作品。そのほかのキャストは、三浦貴大さん、片桐はいりさん、黒木華さん、杉咲花さん、中尾ミエさん、伊武雅刀さん、余貴美子さんなど。脚本は林民夫さん、衣装は伊藤佐智子さんが手掛け、作品を引き立てる。原作は、池辺葵さんの同名人気コミック（講談社「ハツキス」連載）。これまで職人をテーマとしてきた三島監督が、今回は「人の心を動かす一着を生み出す『仕立屋』」にスポットを当てた。

　試写会に訪れた観客らには舞台あいさつがあることを知らされておらず、サプライズゲストとして中谷さんと三島さんが登場すると大きな拍手と歓声が上がった。約20分のトークが繰り広げられる中、中谷さんが観客に「神戸でおすすめの食べ物はありますか」と問い掛ける場面も。観客からの「神戸牛」という返答に、共演俳優の三浦さんが現場で神戸牛と淡路島のタマネギでカレーを作り振る舞ったというエピソードを笑顔で明かした。

　1月17日に阪神・淡路大震災から20年目を迎えることについて、三島さんは「私自身、阪神・淡路大震災を取材したことがあり、神戸がたくさんの美しいものを失った姿を見ている。ロケハンで灘丸山公園から神戸の街を見渡したとき、20年たってここで生きている皆さんの力でさらに力強く美しい街になったんだなあと感じた」と話す。

　これから映画を見る観客に向けて、中谷さんは「すごくすてきな神戸の街を大切に撮ったし、みんなで大切に作った映画。主人公の市江さんは頑固じじいでほんとにどうしようもない人だったりもするが、自分の心の中に本当にやりたいことだったり本当の願いを抱えながら頑固に生きている。（そんな市江さんを見て）ちょっと心が楽になって、本当にやりたいことに一歩踏み出せるような気持ちになっていただければいいなと思って作った」と話した。

　同作は「神戸国際松竹」、「シネ・リーブル神戸」（浪花町）、「OSシネマズ神戸ハーバーランド」（東川崎町1）などで1月31日より全国公開。