「納棺夫日記」の著者・青木新門さん、神戸学校で講演

講演を行う詩人の青木新門さん

講演を行う詩人の青木新門さん

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 フェリシモ(神戸市中央区浪花町)主催の「神戸学校」が11月14日、詩人の青木新門さんを迎えてエスパスフェリシモホール(須磨区)で開催された。テーマは「いのちのバトンタッチ~映画『おくりびと』によせて~」。

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 青木さんは2008年にアカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」誕生のきっかけとなった「納棺夫日記」の著者。16年前に執筆したという同書の映画化は俳優・本木雅弘さんからの「インドで撮った写真を写真集として出版したい。その中に『納棺夫日記』の文章を引用させてもらえないか」という1本の電話から始まったことを明かした。その後、雑誌で本木さんが同書の映画化を望んでいることを知り、手紙のやり取りを行ったという。

 講演では納棺夫の仕事に就いたきっかけを「生活のためだった」と明かした青木さん。自宅死亡率が50~60%あったという当時は死に携わる仕事が軽蔑(けいべつ)される時代だっという。「親族の恥だと言われたこともあった」と当時を振り返る青木さんは「社会全体から白い眼で見られているような気がしていたことは事実。でも亡くなってすぐの顔はどんな死に方をした方でもすごくきれい。亡くなってすぐの顔と、死後硬直後のデスマスクを見た人の『死』のとらえ方は全然違うことを知ってほしい」と心境を明かした。

 続く質疑応答で、「妹の死の瞬間に立ち会えなかったことが気がかり」と話す参加者の女性に青木さんは「見ていなくても亡くなる方は亡くなる瞬間『ありがとう』と言い、きれいな顔をしている。時間が経つと無残な死体になってしまうが、妹さんも『ありがとう』と言って逝かれたと思う。立ち会えなかった後悔よりも、その瞬間があったということを覚えていてほしい」と応えた。

 フェリシモが主催する「神戸学校」は1995年の阪神淡路大震災をきっかけにスタートし、今回で151回目を数えた。参加料は全額、「あしなが育英会」の神戸レインボーハウス運営支援に活用される。

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