神戸ハーバーランドのスペースシアター(神戸市中央区東川崎町1)で5月15日、「2010児童労働撲滅キャンペーンIN兵庫」が開催された。主催はNTT労働組合。
講演する元プロ野球阪神タイガース選手の赤星憲広さん(関連画像)
同イベントは毎年開催地を変え全国の主要都市で行っているもので、今年はILO(国際労働機関)が定めた児童労働反対世界デー(6月12日)に先駆け開催。「児童労働の現状をより多くの方に知ってもらい問題認識を持ってもらうこと」「児童労働撲滅に向けた取り組みについての理解浸透を図ること」を目的にする。イベントでは朗読劇やパネルディスカッションも行われた。
特設したステージで「ニュースの目~宮川俊二が見た世界~」をテーマに講演したフリーアナウンサーの宮川俊二さんはNHKに所属していたころ、日本からベトナムにミシンを送る企画に携わった。講演では実際にベトナムで取材したときの様子や戦争後の様子も語った。「ベトナムは戦争中も子どもにちゃんと学習させていたので識字率が高い。ストリートチルドレンもいたかもしれないが、教育を怠らなかったところはベトナムのすごさ」と話す。
続いて「勇気~野球を通じて学んだこと~」をテーマに元阪神タイガース選手の赤星憲広さんが講演。現役時代から自身の盗塁の数だけ車いすを寄贈するなど、福祉にも力を入れている。赤星さんは幼少期から社会人になっても車いすが足りていない現状を感じていたこと、骨肉腫にかかった女性に出会ったことを明かし、「『僕と言ったら盗塁』なので、盗塁数に合わせることを考えた。引退までの最後の3年間は自分の中でも『盗塁を決めたら、1台車いすを寄贈できる』と意識が変わり、7年間で301台を寄贈できた」と話す。最後には「まだ現役をあきらめたわけではない。もしかしたら来年あたり復活しているかも(笑)」と発言し、会場から大きな拍手を浴びた。
児童労働とは、15歳以下の子どもたちによって行なわれる労働のうち、子どもの健全な成長と健康を妨げ、教育の機会を奪う労働および、17歳以下の子どもを強制労働、債務奴隷、買春・児童ポルノ製作、武力紛争への徴兵などに従事させること。ILOの調査によれば、現在、世界には2億1,800万人(2004年調査)の子どもが児童労働に従事しており、これは日本の人口の約2倍にあたり、世界中の子どもの約7人に1人に相当するという。