神戸で中澤雅子さんの個展-キャンバスにろうを垂らした作品や絵画を展示

さまざまな色のろうをキャンバス上に重ねた作品

さまざまな色のろうをキャンバス上に重ねた作品

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 大阪府高槻市在住のアーティスト・中澤雅子さんの個展「ラクエンカラ クチブエガ キコエル」が現在、海外移住と文化の交流センター(神戸市中央区山本通3)で行われている。主催は「C.A.P. 芸術と計画会議」(同、 TEL 078-222-1003)。

ハスの実にろうを垂らした作品

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 同館4階の展示スペース2カ所を使用して「蝋(ろう」の詩」「それぞれの果物」「気配のない物体」の3空間を創り上げた同展。「蝋の詩」スペースにはキャンバスや本、ハスの実などにろうをたらし、色を重ねた作品13点を展示。「それぞれの果実」には中澤さんの感情の形を絵にした作品22点、「気配のない物体」スペースには形になる前のイメージを絵にした作品9点、各スペースには「昔から作品を作る時に声が聞こえるように頭に浮かぶ」というフレーズをまとめた冊子も展示する。

 以前は陶芸作家として作品を作っていた中澤さん。「少しずつ積み上げて、空気を包み込むように作品を作るのが好き」と話す。中澤さんがろうを使用した作品を作るようになったきっかけは、誕生日ケーキに刺したろううそくだったという。「クリームが白地の器に見えた。それをヒントに白地の器にろうを垂らしてみたらすごくきれいだった。ろうが均一に垂れていく、急ぐことも戻ることもできない様子が自分の体内時計と合っていたようで、しっくりきた」と笑顔を見せる。

 「紙ではろうがはがれてしまう場合がある」と、キャンバスにろうを垂らした作品が壁に並ぶ。緑や青、黄色、赤などさまざまな色のろうを垂らして作られた作品は、作る時の温度で垂らしたろうの固まり方が異なる。「色はその時の感情で選ぶ」という作品は、所々ろうが溶け色が混ざったような複雑な色を表現している作品も。色を重ねた上から透明なろうを流し、それにより重ねた層が溶け表面が滑らかな半透明になっている作品も展示する。

 ろうで作品を作ることの魅力について、中澤さんは「肌に近い質感が好き。溶けたらなくなってしまう感じが儚い気がしてそれも魅力。陶芸作品を作っている時は、なくなってしまう素材が怖かったが、今はなくなる素材ほど儚く、そして強いものはないと思っている」と話す。「作家である以上は、迫力のあるサイズの作品や、小さくても存在感のあるものを作りたい。これからは大きい作品に挑戦してみたい」と意欲を見せる。

 開館時間は10時~19時。今月26日まで。

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