ナガサワ文具センター本店(神戸市中央区三宮町1、TEL 078-321-4500)1階のウインドーディスプレーで6月25日、「試し書きオリンピック2012」の展示が始まった。
「試し書き」とは、文房具店や文房具コーナーに備え付けられたペンの書き心地を試す紙。同展では主催者で離婚式プランナーの寺井広樹さんが5年かけて集めたという45カ国、約50枚の「試し書きされた紙」を展示する。
「4年に1度オリンピックの年に、『世界の文具店から生まれたアート』を紹介する試し書きオリンピックをしたい」とナガサワ文具センターが命名した同展。これまで原宿や渋谷、大阪でも開催し今回で4回目。
「時に言葉にならない魂の叫びが見え隠れする。まさに無意識のアート」(寺井さん)という試し書きされた紙。日本では「あいうえお」や地名・人名が多いという。それぞれの国の試し書きされた紙に一言説明を添えている同展だが、スペインでは「目にも止まらぬスペクタクルなペン使い」、ニュージーランドでは「クールでポップな雰囲気」、バングラディシュでは「フィールドを対角線に走り切る思い切った作品」と、その内容もユニークだ。
「試し書きは誰に見せるために書いてあるわけはないので、その人の『素』が現れている。試し書きから人の本質が何か読み取れないか?という試みが楽しい」と試し書き収集のきっかけを語る寺井さん。月に一度「タメシガキ愛好家」が集まり文房具店の試し書きコーナーを回る「タメシガキツアー」も開催。店によっては寺井さんのために試し書きを保存している店もあり、最近では、文房具店から何かコラボレーションできないかと声が掛かることも増えたという。
試し書きの面白さについて、寺井さんは「それぞれの国柄の違いが表れていて、現地の人たちの国民性などを想像するのも楽しい。文房具は日々進化していくのに、試し書きは100年前も100年先もほとんど変わらない。時代に取り残されている感じもすごく魅力に感じている」と話す。「いつか地元の神戸で『タメシガキ』の展示会を開催したかったので思いもひとしお。言葉が通じない外国人の方にも楽しんでいただきたい」とも。
7月18日まで。