演劇集団キャラメルボックスの舞台をデジタルシネマ化した映画「Livespire『嵐になるまで待って』」が2月21日公開され、初日に109シネマズHAT神戸(神戸市中央区脇浜海岸通2)で舞台あいさつが行われた。
同作品は4度にわたり再演された同演劇集団唯一のサスペンス劇で、「歪んでしまった『人が人を思う気持ち』は、どんな結末にたどり着くのか」を描いたもの。出演は同演劇集団の渡邊安理さん、細見大輔さん、西川浩幸さん、温井摩耶さんら。原作は成井豊さんの「あたしの嫌いな私の声」。
舞台には、波多野役を演じた細見大輔さんと雪絵役を演じた温井摩耶さん、同演劇集団製作総指揮の加藤昌史さんが登場。細見さんは「4度再演したうちの3度出演しているが毎回違う役を演じているので、いろいろな角度からこの作品を見られて良かった。節目節目で出演しているので、自分の芝居に対する今の思いや、以前出演した時からの成長を確認できた」と振り返った。
生まれつき耳の聞こえない聾(ろう)者を演じた温井さんは「今までとは違う言語を学ぶことがすごく楽しかった。手話を通じて『伝わる』ことの素晴らしさを学んだ」と話す。加藤さんは「ビデオやDVDなどで映像は残っているが、キャラメルボックスの舞台が映画化されるのは今回が初めて。普段は舞台上のマイク1本でやるが、映画化の際はマイク50本を使って撮った。出演者の息づかいなど映画に入っている音すべてが監督によるもの」と明かした。それについて細見さんは「普段拾いきれない音が全て聴ける。舞台を撮影しているが、映画監督が編集しているからか映画として成立している。この取り組みはすごい」とも。
「Livespire(ライブスパイア)」は、ソニーが2008年5月にスタートしたデジタルライブコンテンツ製作、配給サービス。「Live(ライブイベント)」を「Inspire(鼓舞、刺激)」するという意味を持ち、オペラやミュージカルなどの舞台芸術やスポーツ、音楽イベントなど国内外の良質なライブエンターテインメントを「デジタルシネマ作品」として全国の映画館に配給している。
上映は3月13日まで。