神戸・トアウエストの雑居ビル2階にある「ザックバランな古本屋・トンカ書店」(神戸市中央区下山手通3、TEL 078-333-4720)で現在、10周年企画イベントが展開されている。
12月20日に10周年を迎える同店。約9坪の店内には新旧問わず幅広いジャンルの古本約3000冊と雑貨小物などが並ぶ。昭和30年代のコミックソングなどが流れる店内には、壁面3面の展示スペースがあり、随時、イラスト展や写真展などのほか、絵本講座などを開講。店名は、本好きの店主・森本恵さんの旧姓・頓花(とんか)から名付けられた。
開業前は書籍に関する仕事に就いていたという森本さんは出店のきっかけについて、「『ザックバラン』を合言葉に老若男女さまざまな人が行き交う大人の駄菓子屋のような店をやりたかった」と明かす。2012年からほぼ毎月開講している元図書館員・中西美季さんによる絵本講座では、作家を1人ずつ取り上げて、その生涯と作品を時系列に紹介。一つの絵本がどのような背景をもって生まれたのかなど、読み聞かせをすることで、絵本の魅力をあらためて感じる機会も設けてきた。
10周年を迎える12月まで、さまざまな記念イベントを開催。現在は、作業所・御影倶楽部の紙を使った作品展「本にまつわる作品展」が行われており、海文堂書店のミニコミ誌「ほんまに」の表紙画を担当していたイシサカゴロウさん、神戸のイラストレーター太田朋さん、WAKKUNさん、神戸具体美術の巨匠・堀尾貞治さん、現代詩人作家・小野原教子さんなど、総勢13人が参加。同所の紙は白鶴酒造の酒パックを再利用しており、一枚一枚手すきだが、安価で丈夫ということから作家たちの間でも評判高い。同展は白鶴酒造資料館(東灘区)でも同時開催されている。
以降のイベント開催日と内容は次の通り。
11月1日~15日=神戸の写真家・永田收さんによる古本店主の肖像写真展「古本屋店主・人物往来」、11月6日=元海文堂書店店員・平野義昌さんお話会「海の本屋のはなしで書かなかった<本屋のはなし>」(19時~、1,000円、要予約)、11月16日=「本は人生のおやつです!!」の店主・坂上友紀さんお話会「私が本屋をはじめた理由」(同)、11月16日~29日=ある愛好家による展示会「新潮社<純文学書き下ろし特別作品>全冊」、12月3日~20日=さとうゆうすけさん個展「物語と幻想」、12月23日~28日=「小さな小さな絵本市」など。
森本さんは「人のご縁に支えられての10年だった。ただただ感謝の言葉しか見つからない。今後も本を通じてたくさんの方と出会っていきたい」と話す。
営業時間は13時~18時(土曜・日曜・祝日は19時まで)。火曜・水曜定休。