神戸・元町駅近くの居酒屋「ハネハネ居酒屋 のり吉くん元町店」(神戸市中央区北長狭通3)で10月2日、同店創業22周年スペシャル企画「みちのくプロレスのり吉くん元町店大会」が開催された。
居酒屋の店内を使ってプロレスを行う同イベント。企画したのは、岩手県を拠点に活動する「みちのくプロレス」所属で神戸市垂水区出身のプロレスラー・のはしたろう選手。これまでも書店などの店舗や電車など公共の場所を使ったプロレスは全国各地で開催され、実際のプロレスでもリング外での「場外乱闘」もあるため、試合を行うことは可能だという。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、同団体でも興行や試合の機会は大きく減った。感染症対策を万全にし、道場を会場にした「道場プロレス」を継続しているほか、県外での興行も徐々に行ってはいるが、思うようにできない部分も多い。「観戦に行きたいが行けない」というファンからの声もあり、選手らが自宅へ出張する新企画「自宅プロレス」を今年3月に始めた。
同店店主の大西紀之さんがのはし選手と知り合ったのは2019(平成31)年3月。同年9月8日に新神戸の神戸芸術センターで行われた「みちのくプロレス神戸大会~神戸市垂水区出身のはしたろう凱旋大会SP~」のPR活動の一環で、のはし選手が、大西さんが経営する西元町の居酒屋「元町通5丁目酒場 花吉(ハナキチ)」に立ち寄ったのを機に交流が始まった。「実は少年時代はプロレスラーになりたかった。夢はかなわなかったが時を経て大人になってからプロレスラーと仲良くなれてうれしかった」と大西さん。それから毎年、神戸大会のPR活動を応援しているという。
今月3日に神戸の垂水漁港水産会館で行われた「夢KOBE PROJECT presents みちのくプロレス垂水大会~のはしたろう凱旋大会SP~」開催の決定を報告するため、8月、大西さんの店に訪れたのはし選手。同団体が書店や依頼者の自宅でプロレスを行っていることを知っていた大西さんからの「居酒屋でもでけへん?」という問いかけから、コラボ大会が実現した。
大西さんは「プロレスラーを招き、自分の店でイベントをすることになるなんて。形を変えて少年時代の夢がかなった」とほほ笑む。
当日は席数を半分に減らし、前売りチケットを購入した25人が観戦。リスク回避の観点から食事は提供せず、チケット代金に、後日同店で利用できる飲食チケットを含めた。
第1試合はサイゴン・ゲレーロ選手対川村興史選手の20分1本勝負で、サイゴン・ゲレーロ選手が逆片エビ固め(9分42秒)で勝利。第2試合はMUSASHI選手対のはし選手の30分1本勝負で、MUSASHI選手が片エビ固め(18分36秒)で勝利した。途中、大西さんが飛び入り乱入する場面もあり、試合をさらに盛り上げた。
大西さんは「全く打ち合わせなしでの乱入は、プロレスラーになりたかった僕に選手の皆さんからのサプライズプレゼントだった。おかげさまで創業22周年企画は笑顔いっぱいのハッピーな時間になった」と振り返る。「『みちのくプロレス』公式ホームページと『週刊プロレス』公式モバイルに試合結果が掲載されていたのもうれしかった」とも。