神戸屋(神戸市中央区元町通2)は8月15日、元町商店街の老舗靴店「コウベヤ」(元町通2、TEL 078-331-2589)を10月31日に閉店する予定であることを明らかにした。
同店は明治28年創業、今年で113年目を迎えた老舗靴店。創業当時の社名は「神戸屋製靴所」で、靴の製造を行う傍ら小売業を行っていた。同社工場では200人が技術を学び、当時は「神戸屋製靴所で修行しないと靴職人として一人前ではない」といわれたという。
創業当時から利用客を大切にした営業を続け、「神戸の履き倒れ」の一翼を担ってきた同店の閉店を惜しむ声は少なくない。同店オーナーの西村さんは「常連のお客様からは『青春の店がなくなる』『これからどこで靴をみてもらったらいいのか』という声があり、申し訳ない気持ちでいっぱい。だがお客様により喜んでいただけるサービスを提供する方が『コウベヤ』らしい。小売店は閉店するが、『足と靴の橋渡し役』となる今後を認めていただければ」と話す。
今後の方針については「婦人靴の需要が高まってきているが、自分に合った靴の選び方が分かっていないのではないかと思い、靴を売ることよりも女性がもつ靴に対する悩みや不満を解決していきたいという考えが強くなった。靴の形にもいろいろあるので、自分の足に合う形、合わない形を知ってほしい。『買ったものの履けない靴』が履けるようになる可能性もある」とも。
同店内で靴を売りながら、利用客の靴に対する悩みを解決する方法も考えたという西村さん。閉店に踏み切った理由については、「靴を売っていては、売り上げや接客時間が気になり本当にお客様に必要なものを提供できないのではないかと感じた。靴を売るのをやめて、お客様の足と靴のすき間を埋めることをサービスとして提供していきたい」と新たな方向性も示唆する。
新事業については2010年2月ごろ、同店3階で開始する予定だが、サービスの詳細などは未定。同店は閉店まで全商品30%割り引くセールを行っている。
営業時間は10時~19時。不定休。