■映画「メモリーズ・コーナー」について
・どんな作品ですか？
高木さん：2011年に製作され、阪神・淡路大震災と孤独死をテーマにした作品。オドレイ・フーシェ監督の初作品で、キャストは、デボラ・フランソワさん、西島秀俊さん、阿部寛さん、フランソワ・パピニュさん、國村隼さん、塩見三省さん、倍賞美津子さんなど。愛するものを失った、2人の男と1人の女。フランス人女性記者が体験した愛と希望の物語。

・日本の俳優と共演することについて
デボラさん：「メモリーズ・コーナー」は日本の俳優やスタッフと関わる初めての経験だった。すごく感動的で素晴らしい経験になった。遠い日本で有名な方と共演できたことは素直にうれしかった。日本でのロケで淡路島に行ったが、とても素晴らしいところ。感動した。

・フランスと日本の文化について
デボラさん：違いはたくさんある。難しさを感じたこととして、日本ではマネジャーがいる場合が多いが、フランスにはない。集中したい時に、ずっとそばに誰かがいる状況にストレスを感じてしまうこともあった。また、フランスでは朝のあいさつにキスをするが、それが原因でいつも5～10分程度遅刻していた。フランスでは5～10分なんて遅刻に入らないが、日本ではアウト。時間の意識の違いに戸惑うことも多かった。

・日本のファンの方に会う心境は？
デボラさん：特別上映会に呼んでもらえて、このような機会をもらえたことに感動している。神戸で撮影し神戸のことを語る映画なので、神戸で舞台あいさつできたことがうれしい。撮影の約1年後に東日本大震災があり、日本のことがすごく心配だったので、地域は異なるが日本の皆さんと会えたのがうれしい。

©フランス映画祭2013神戸特別上映事務局／ユニフランス・フィルムズ

・3月の上映時には立ち見客が出るほどの人気だったことについて
デボラさん：フランスでは立ち見はありえないことなので、日本人はやり遂げる意思が強いのだなと感動した。初めて聞いたときは信じられなかったが、本当にうれしい。

■フランス映画祭2013神戸特別上映について
・フランス映画祭とは
高木さん：1993年から毎年開催されているフランス政府の文化機関「ユニフランス・フィルムズ」主催の映画祭。今年で21回目。主に日本初公開となるフランス映画の新作を中心に上映され、フランスから映画監督や俳優も数多く来日する。

・なぜこの作品を選んだ？
神戸での初めての特別上演なので、神戸に関わりのある映画を上映したかった。阪神・淡路大震災をテーマに、フランス目線で神戸を描いた映画なので、神戸の方の心に響くものがあるのでは。

・神戸での特別上映の開催のきっかけについて
高木さん：もともと映画が好きで11年前に横浜で行われたフランス映画祭のボランティアをしていたのがきっかけ。そのころから神戸でやりたいという思いがあった。神戸ハーバーランド全体で開催すれば、神戸のイメージアップにもつながる。11年かかり、ようやく1回目を開催できた。これを次へつなげていきたい。

■今後について
・デボラさんの今後は？
デボラさん：また日本の俳優と共演したい。日本の映画にも出てみたいので、オファーがあれば日本語も勉強する。どこの国の映画であれ、他国で普及していくのは素晴らしいチャンス。さまざまなジャンルの映画を紹介できる映画祭は素晴らしい機会。

・フランス映画祭2013神戸特別上映の目指す先とは
高木さん：国際的な映画祭の誘致は国内のみならず、アジア中の観光誘致にも繋がる可能性がある。作品数を増やしたり期間を長くしたり、徐々に神戸に誘致し、メーン会場を神戸ハーバーランドエリアにして、行政や周辺のホテル、飲食店を巻き込んで開催したい。神戸が活性化し盛り上がるきっかけとなれば。

■取材を終えて
終始笑顔で取材に応じてくれたデボラさん。フランスと日本の違いに戸惑いながらも「また日本の俳優やスタッフと一緒に仕事がしたい」と話してくれた。高木さんは神戸への誘致ができたら「映画は総合芸術なので、ライブイベントや近隣の飲食店なども一緒に面的な広がりを持つイベントにしたい」と語ってくれた。2人の今後の活動に注目していきたい。

『メモリーズ・コーナー』
DVD＆Blu-ray
2013年7月17日発売
発売元：アクセスエー／メダリオンメディア
販売元：ポニーキャニオン
NOODLES PRODUCTION, FILM ZINGARO 2 INC., FRANCE 3 CINEMA, 2011.

公式サイト