フェリシモ(神戸市中央区浪花町)主催の「神戸学校」が12月13日、「子どもの本の専門店メリーゴーランド」(三重県四日市市)店主の増田喜昭さんを講師に迎えてエスパスフェリシモホール(須磨区)で開催された。
当日、「物語の魔力~子どもが扉をひらくとき」をテーマに、第1部では増田さんの講演が、第2部ではイラストレーター・飯野和好さんの絵本の読み聞かせ、質疑応答が行われた。
第1部で、会場からの大きな拍手に迎えられ登場した増田さんは普段読み聞かせをする時に子どもに警戒心を解かせるために使用しているというこまを回して見せた。子どもに話をする時は大人と違うことを言わないという増田さんは、子どもが本を読む大切さについて、「子どもが本を読むことや寄り道をすることはまっすぐに歩くよりもずっと大切なこと。10歳の子どもが自分自身の道を歩もうとすることを大人は邪魔してはいけない」と話す。「物語は読み手がいいと思って初めていいものになる。本屋は本を買った人と、買われた本の一生をもっと考えないといけない」とも。
第2部では、飯野さんが自作の絵本「ねぎぼうずのあさたろう その7 さんぞく まつぼっくりのもんえもんのなみだ」「くろずみ小太郎旅日記 その6 怪僧わっくさ坊暴れる!の巻」「児雷也 がまにのって」の読み聞かせを行った。三味線や太鼓のリズムを織り交ぜながら軽快なリズムで進む読み聞かせは、所々で飯野さんの殺陣が披露された。「ひゃー」という言葉とともにステージを走り回る飯野さんに、会場からは笑いが漏れる一幕も。
最後に司会者から「日本の宝物とは何か?」と尋ねられ、増田さんは「『魂』という言葉。先人からもらった『魂』を後々にも引き継ぐのは日本人独特の素晴らしさ」と、飯野さんは「山育ちだから山河などの風景。日本の風景は日本の宝」と答えた。
増田さんは「その人となりができ上がってしまう10歳までに、子どもに大きな影響を与える本というものにかかわりたい」という思いから、同店を32年前にオープン。現在では、喫茶店や多目的ホールでの紙芝居、ライブ、作家を招いて講演会を行うなど、本屋という枠組みを越え注目を集めている。また、店長業務の傍ら作家に呼びかけ、絵本の制作をするなど絵本のプロデューサーとしても活躍している。
フェリシモの主催する「神戸学校」は1995年の阪神淡路大震災をきっかけにスタートし、今回で140回目を数えた。