神戸ポートアイランドのワールド記念ホール(神戸市中央区港島中町6)と神戸夙川学院大学(港島1)で5月4日、無料ミュージックフェスティバル「COMIN’KOBE’11」が開催された。
チャリティーで「05:46→14:46」の文字が刻まれたリストバンドを販売
同フェスは、2005年に神戸市がテーマとして掲げていた「震災10年 神戸からの発信」に基づき神戸の活性化を目指して開催された野外チャリティーライブ「GOING KOBE」が前身。その後、同じ名称で5年間開催され、震災から15年目の昨年「COMIN’KOBE」に変更された。
阪神・淡路大震災がきっかけで始まった同フェス。今回は東日本大震災の発生を受け、神戸から被災地にエールを送ることを目的とし、「THE COLLECTORS」「ガガガSP」「怒髪天」「宮根誠司と2T」のほか、嘉門達夫さん、平松愛理さんなどの総勢155組のアーティストが出演。概算で過去最高の延べ約9万人の観客が14ステージで行われた公演に足を運んだ。
当日のライブはユーストリームでも配信し、岩手県盛岡市のMOSSビル前広場では「COMIN'MORIKA(カミングモリオカ)」を同時開催。設置した大型スクリーンで神戸会場の様子が生中継され、盛岡会場に集まった約300人に向けて「盛岡コール」が送られた。
会場では、東日本大震災チャリティーとして募金活動と「05:46→14:46」の文字が刻まれたリストバンドを販売。同アイテムは、東日本大震災と阪神・淡路大震災の発生が「分」の単位で同時刻であったことを捉え、神戸の気持ちが東日本とともにあることを象徴するフレーズとして発案されたもの。売上金は全て東日本大震災の義援金として寄付される。
先月、被災地(宮城県石巻市)でボランティアに参加したという7人組ロックバンド「FUNKIST(ファンキスト)」は、「阪神・淡路大震災の痛みを知っている神戸から音楽を通して被災地にパワーを送ろう」と超満員となった会場の観客にステージから呼び掛けた。
同バンドのボーカル・染谷西郷さんは「被災地へ行ったのが花見シーズンで、そこで出会ったおじいちゃんが『被災地以外の地域で花見を自粛しているというニュースを見かけるが、もっと日本のみんなが楽しそうに笑顔でいるところを見たい。それを見ることで、来年は自分たちも同じように笑顔になってやるぞと思える』と話してくれた。その言葉が忘れられない」と被災地でのエピソードを明かした。
神戸生まれのギター・宮田泰治さんは「幼少の頃に東京に引越したが、親せきが神戸に住んでいたのでよく遊びに来ていた。神戸で地震が起こった時は思い出の場所が変わり果てた姿でテレビに映ったのを見て、自分の無力さがもどかしかった。東北の被災地の皆さんには音楽で元気を届けたい」と力強く語った。