神戸市は4月7日、神戸メリケンパークに復元帆船「サンタ・マリア号」のモニュメントを設置し、翌8日から神戸海洋博物館(神戸市中央区波止場町)で同船に関する映像展示を始めた。
コロンブスのアメリカ大陸到達500年を記念して、1992年にバルセロナのビューデス造船所で復元建造された同船。神戸市は「海運や造船における貴重な財産として保存・活用し、開示思想の普及と青少年の教育の場とする」ことを目的にサンタ・マリア号協会より譲り受け、神戸ハーバーランドや神戸メリケンパークで展示していたが、経年により船体の腐食や劣化が進み、1996年と2004年に大規模補修を実施したが損傷の顕著化が見られ、昨年7月に解体していた。
神戸メリケンパーク内のトイレ南側芝生に設置したモニュメントは同船の遠くを見るためのやぐら部分である望楼(ぼうろう)とアンカー部分。アンカーは見えやすいようにと石にもたれかけるように展示した。近くに設置するパネルでは同船の建造と航海に関する記録などを紹介。同館ではバルセロナから約9カ月の航海を経て神戸へ入港した当時の映像を展示している。
神戸市みなと総局みなと振興部振興課の山村さんは「見に来ていただく方に(全体展示でなくても)船をイメージしやすい望楼とアンカーを選んだ。保存状態も良かったので一部ペンキを塗ったが、船体を展示していたころに近い状態を見ていただけるのでは」と話す。
同モニュメントを撮影していた神戸市在住の男性は「形は変わってしまったが、やっとメリケンパークにサンタ・マリア号が戻ってきたという気持ち。船ではなくなった寂しさはあるが、以前はこんなに近くで望楼を見ることができなかったので、うれしさもある」と笑顔を見せていた。