「海外移住と文化の交流センター」(神戸市中央区山本通3)内の「KOBE STUDIO Y3」(TEL 078-222-1003)で5月3日から、展覧会「ロボットのための海の病院を捜して」が開催される。主催は「C.A.P.(芸術と計画会議)」。
世界各国で過ごした滞在中の体験や交流の中から生み出した作品を展開するフィンランドのレジデンスアーティスト、ペッカさんとテイヤ・イソラッティアさん夫妻による同展。
「人間と機械と自然の関係」を意識した、主に機械彫刻によるインスタレーション作品を得意とし、土地の人と会話して環境を探り、その土地ならではの素材や制作手法を捜して生かした「サイトスペシフィック」作品を制作する。
3年間、海と人との関係を反映したロボットの彫刻作品手掛けているという2人は「圧倒的な食文化があり、特にシーフードが新鮮でおいしい日本」との理由で、作品の制作拠点に神戸を選んだという。
海産物の加工工程を知るため市場に行った際、マグロを切り分けた後の皮が山積みで捨てられているのを見つけ、「まさに私たちの作品にうってつけだ」とひらめき、丈夫なマグロの皮を使ってロボットタイプの彫刻作品「人魚」を制作。今展のメーン作品として展示する。同作品には、人魚の皮膚のように加工したマグロの皮を200枚以上使っているという。
同展では、昨年12月から6カ月間滞在した神戸でのレジデンスアートの成果を中心に、「人魚」の制作過程を記録した映像のほか、2010年に発表した感情の無い機械に対して人が持つ共感の気持ちに反応する作品「病気のロボット(Invalid robot)」も紹介する。
初日は17時から、オープニングパーティー&パフォーマンスを開く。5月15日は、会場内で作家が作品解説を行うギャラリートーク「ロボットのための海の病院を捜して」(19時~20時)を予定する。いずれも参加無料。
C.A.P.の下田展久さんは「世界中でレジデンスアートを展開している2人は、その場所で手に入れたものを使ってロボット作品を作っている。神戸に来る前はメキシコで甲羅を全てソーラーセルにした永久運動するウミガメを作った。神戸で制作した人魚は、ポンプを使い体の中を水が移動することで動く仕組みになっている」と話す。
ペッカさんは「ここで仕事できて感謝している。面白いレジデンスプログラムになるだろう」と来場を呼び掛ける。
開催時間は10時~19時。月曜休館。入場無料。5月24日まで。