フェリシモ（神戸市中央区浪花町）主催の「神戸学校」が6月13日、アートコーポレーション社長の寺田千代乃さんを迎えてエスパスフェリシモホール（須磨区）で開催された。テーマは「反省と挑戦が成長させた子育てママの創業物語～引越業がつくるしあわせ社会～」。

　講演では、寺田さんが同社の創業当時を振り返り、「引越は不特定多数の方がお客様になり得る。そんなたくさんの方にどうやって当社を知っていただくかで悩んだ」と明かした。「友人に聞いて回ると『電話帳で探す』という答えが多く、電話帳で検索して最初に見つかるように、『アート』を運ぶように家財を扱うという意味も込めて、社名を『アート引越センター』とした」とも。

　ほかにも世界中で約500回線を持っているという「0123」という番号や1978年から始めたというテレビCMについても触れ、「『社名』『電話帳』『テレビCM』のどれが欠けても今のアートはなかった」と振り返る。

　続く質疑応答で「子育てをしながらの仕事でどのような工夫をしてきたか」と問われ、「子どもが小さい時は『仕事も100点、子育ても100点』と頑張ったが、四角い部屋を丸く掃除しても気にしないくらいの『自分への甘さ』も大事。後は子どもに共働きであることを話し、理解してもらうこと」と答えた。仕事の効率的な進め方を問われると、「自分で納期を決めること。何でも自分だけでこなそうと考えずに、周りをどんどん巻き込んでいくことも大事」と話す。

　寺田さんは1968年、結婚と同時に夫と運送業を始め、アート引越センターの母体である寺田運輸の経営に参画。1976年、寺田運輸の一事業としてアート引越センターを創設。1990年には社名を「アートコーポレーション」に変更。現在国内に約100拠点を持ち、アメリカや中国にも展開。他社の社外取締役を多数務めるほか、関西経済連合会副会長を務めている。

　フェリシモの主催する「神戸学校」は1995年の阪神淡路大震災をきっかけにスタートし、今回で146回目を数えた。参加料は全額、「あしなが育英会」の神戸レインボーハウス運営支援に活用される。