「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」(神戸市中央区波止場町)3階正面玄関で神戸開港記念日の12月7日、旧「オリエンタルホテル」から受け継いだ「鬼瓦」の復活除幕式が行われた。
旧「オリエンタルホテル」に設けられた鬼瓦の様子。写真=淀井敏夫さん親族提供
2体の鬼瓦は2001年に文化勲章を受章した彫刻家の故・淀井敏夫さんの作品。パブリックスペースである正面玄関の東側に「阿形(あぎょう)」、西側に「吽形(うんぎょう)」を設け、誰でも見ることができる。ともに高さ約1.8メートル、幅約1.6メートル、厚さ約40センチ。
1964(昭和39)年、日本最古級の西洋式ホテルとされる旧「オリエンタルホテル」が京町25番地に移転しホテル建物が新築された際、同作品をアッパーラウンジの壁面に設置。1995年1月17日 の阪神・淡路大震災の発生により、ホテルは甚大な被害を受け、惜しまれつつ歴史の幕を下ろしたが、同作品は「日本唯一のホテルに建つ公式灯台」「歌碑」と共に、同年7月に開業が決まっていた神戸メリケンパークオリエンタルホテルに受け継ぐことになった。
公式灯台と歌碑は同ホテル最上階14階のバルコニー、同作品は4階宴会場フロアの壁面に設置したが、2014年6月の宴会場リニューアルを機にいったん撤去され、同ホテル内倉庫に保管されていたという。神戸開港150年のタイミングに合わせ、同作品を復活させるプロジェクトが発足。設置準備を進めてきた。
除幕式では、生田神社による神事が行われ、同ホテルの総支配人・荒木潤一さんがあいさつ。故・淀井さんの親族、「鬼瓦復活プロジェクト」を文化的見地から指導した日本画家の岡田嘉夫さん、故・淀井さんの生涯作品を常設展示している「あさご芸術の森 美術館」の館長・伊藤照哉さんらが来賓として参列した。
荒木さんは「鬼瓦は、旧『オリエンタルホテル』で守り神として設置されていた。震災を乗り越え継承されてきた鬼瓦を、神戸開港150年を機に再設置することで、神戸の平和を守り続けるシンボルとして役立てたい。継承し続けることで、今後も神戸と共に歩むホテルでありたい」と話す。