元町商店街4丁目のミニシアター「元町映画館」(神戸市中央区元町通4、TEL 078-366-2636)で4月28日~5月4日、「イスラーム映画祭3」が開催される。
世界中に広がるイスラームの文化と共に生きる人々の姿を描いた、よりすぐりの名画を集めて上映する同映画祭。主宰する藤本高之さんは20代の頃、バックパッカーを経験し、アジアから北欧までを旅する中でイスラーム圏の国々に興味を持つ。2009年、アップリンク配給サポート・ワークショップ受講を経て、2010年より北欧映画祭「トーキョーノーザンライツフェスティバル」に5年間参加。2015年、テロ事件などの影響で広まるイスラームへの誤解を払拭すべく、かつての旅の経験とアジア・中東映画の知識を生かし、個人で同映画祭を立ち上げた。
同年12月、日本初となるイスラームをテーマにした同映画祭の開催が東京で実現。予想以上の好評を得たことから、2017年には東京・名古屋・神戸の3都市で行われ、さらなる反響を呼んだ。現代世界における「異文化理解」の重要性を再確認する場となった同映画祭は、今回も同じく3都市で開催する。
神戸では、イスラームの文化が根付く11の国や地域から12本の映画を集めて上映。今年は多くのパレスチナ人が難民となったイスラエル建国から70年の節目にあたる年として、パレスチナ映画「ラヤルの三千夜」を初上映する。そのほか、「エクスキューズ・マイ・フレンチ」「私の舌は回らない」など4作品も日本初公開。
会期中は藤本さんがゲストを迎えて上映終了後のトークセッションを開催。28日=元「宝塚・アフガニスタン友好協会」代表の西垣敬子さん、29日=京都大学大学院人間・環境学研究科教授の岡真理さん、30日=甲南大学文学部教授の中町信孝さん、3日=東京国際大学教授の渋谷哲也さんが登壇する。予約不可。当日、整理券を配布する。
今回、初の映画祭公式ガイドブック「映画で旅するイスラーム 知られざる世界へ」(1,728円)も会場で販売する。
藤本さんは「これまでは、なるべく戦争や社会性の強いテーマを持っている作品ではなくイスラームの素朴な暮らしぶりが分かるような作品を中心に選んでいた。基本的にはそのようなラインアップで行っていきたいとは思っているが、今回は上映本数を増やしたこともあり、国際社会が抱えている問題をそのまま背景にしている作品も選んだ。シリア内戦についても取り上げたかったのでシリアの映画や皆さんの記憶から薄れつつあるアフガニスタンの映画などにも注目し、3分の1は社会的な強いテーマを持った作品となっている」と話す。「トランプ米大統領のイスラーム圏7カ国に対する入国禁止令や欧州における右傾化など、『多様性』とは名ばかりに世界がいよいよ分断の方向へと向かいつつある今、世界のさまざまな文化に興味を抱き、自分と相通ずる何かを見出だすことこそが、その流れに唯一、ポジティブかつ楽しみながらあらがう方法であると考えている」とも。
料金は、一般=1,500円、シニア=1,100円、学生・障がい者=1,000円など。上映時間や作品の詳細は同館ホームページで確認できる。