戦前より活動する世界最年長ビッグバンド「ブルースカイオーケストラ」のバンドリーダーでドラマー&打楽器奏者の第一人者である奥田“スインギー”英人さんが5月24日、ジャズとゆかりの深い神戸に訪れた。
奥田さんは1966(昭和41)年東京生まれ。結成80周年を超えた同バンドの初代リーダー・奥田宗宏さんを父に持ち、本物のジャズとアーティストたちに囲まれて幼少期を過ごす。3歳からスティックを握り、高校在学中には数回にわたり単身渡米。ニューヨーク、ロサンゼルス、ボストンなど、有名ミュージシャンのもとを渡り歩く武者修行の旅を展開。国内でのスタジオミュージシャンも経て、24歳で先代・宗宏さんの跡を襲名した。
音楽プロデューサーとしては、コカコーラ社のCM「明日があるさ」で知られる「Re:japanビッグバンド」など、さまざまな広告、映像作品、アーティストなどのプロデュース・ディレクションを手掛け、2016年から2年連続ベストプロデューサー賞を受けている。
日本のジャズ発祥の街といわれている神戸。1923(大正12)年4月、日本で初めてのプロのジャズバンド「井田一郎とラッフィング・スターズ」が神戸で結成されてから60年目の前年にあたる1981(昭和56)年、市内の複数会場で開催されるジャズイベント「神戸ジャズストリート」が始まった。1995年、1996年には同バンドも参加している。
この日は12歳のころから父親に連れられ訪れたていたという街の風景を散策しながら、神戸異人館街「風見鶏の館」(神戸市中央区北野町3)前の北野町広場にあるジャズマンの像などを見学。その後、ラジオ関西(東川崎町1)の番組「羽川英樹ハッスル!」に生出演し、神戸を後にした。
奥田さんは「神戸のイメージは『多様性』。港があることによって多民族の文化があり、街を歩いていると楽しくなる。音楽家にとって、訪れた街の空気を吸うことが大切で、今のジャズを感じるには散歩することが一番。歩いて感じたが、20年前と今では、神戸のジャズの概念も変わったように思う。ジャズの定義を変えていこうとはしているが、ノスタルジーに浸ったままでいたいとういう人が多いのかもしれない。現実とのギャップがすごく大きいように感じた」と話す。「ジャズにはなじみがないという若い人が多いが、実はヒップホップやはやりの音楽などもジャズの流れをくんでおり、クリエーティブな音楽にはジャズのテイストが入っている。ジャズとはこういうものだという概念を持っている限りはノスタルジーから抜け出せないかもしれない」とも。
奥田さんは8月12日、大阪では14回目となるジャズフェスティバル「インペリアル ジャズ 2018」(14時30分~20時)を「帝国ホテル 大阪」(大阪市)3階フロアをジャックして開催する。同バンドをはじめ、チャゲさん、佐々木秀実さん、ぼんちおさむさん、浜村淳さん、西村由紀江さん、高木里代子さん、JLP(ジャズレディープロジェクト)などが出演する。9月29日(食う肉の日)には、神戸・某所(19時~)で肉料理を食べながらジャズを楽しむプレミアムライブも予定している。