「NPO法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」が設立1周年を迎えた11月28日、同NPOでの活動を副業とする神戸市職員に初の年俸が支払われた。
「須磨が好き」という、障がい者、ライフセーバー、サラリーマン、海の家オーナー、公務員、看護師、医師、報道関係者ら有志12人が「みんなの『できない』を『できた!』に変える。」をキャッチフレーズに活動する同NPO。「車いすでは海を楽しめないという既成概念をぶち破りたい」との共通の思いから「須磨を車いす利用者とその家族が一緒に海を楽しめる、すてきなユニバーサルビーチにすること」を目標に掲げ、活動がスタートした。代表は自身も車いす生活を送る木戸俊介さん。
車いすでも砂浜を走行できるビーチマットと水陸両用車いす「ヒッポキャンプ」を資金調達して購入し、多様な関係者やボランティアで環境を整備。現在は、海だけでなく田畑、山、牧場などにも順次活動範囲を拡大している。
同NPO副理事長を務める秋田大介さんは、神戸市職員としてまちづくり推進に取り組んでいる。神戸市では、公務員が報酬を得て社会貢献活動に参加できる地域貢献応援制度を導入しており、秋田さんは同制度に承認され、今回初めて給与が支給された。秋田さんは「給料については公表を控えさせていただくが、食事代くらい」と笑顔を見せる。
もともと神戸市職員としての知見を生かして、市民活動家などが神戸のため市民のために行う活動をサポートすることをライフワークにしているという秋田さん。公務員の持つ信頼度やネットワークを活用し、クラウドファンディングでの資金調達やスポンサー探し、行政との折衝、現場管理などを担当し、同NPOの活動をサポートしてきた。
同NPOでの活動については、「地域に飛び出す公務員(飛び公)を応援する首長連合」が飛び公を応援することを目的に開催する「地域に飛び出す公務員アウォード2018」にエントリー。全国から応募25件の中、1次審査のウェブ投票で1位を獲得した。2次審査での選考も通過し、11月17日に行われた「第8回地域に飛び出す公務員を応援する首長連合サミット」に招待され、「ユニバーサルビーチを増やしま賞」を受賞した。
秋田さんは「私たちは障がい者支援団体ではないので、一緒にチャレンジを楽しむことを大事にしている。この活動に参加しているボランティアの皆さんは障がい者の方とどのように接したら良いかを学ぶことができたし、両者の間にある見えない壁も無くなっていった。何よりもみんなが楽しんで参加していることがすばらしい」と話す。「今は活動を拡大し、車いすで木登りをするユニバーサルツリーイングにもチャレンジしている」とも。