兵庫県出身の画家・島村薫さんの個展「机下の空論」が2月5日、海外移住と文化の交流センター(神戸市中央区山本通3)内にある「KOBE STUDIO Y3(コウベ スタジオ ワイスリー)」(TEL 078-222-1003)で始まる。
主催の「C.A.P.(芸術と計画会議)」メンバーでもある島村さんは、京都・大阪・兵庫などで行う個展やグループ展で平面作品を中心に発表する一方、芸術を通じて人との交流を楽しみたいと、2017年は各所を転々と巡りながら出会った人たちに点描してもらう作品「テンテンとしながらテンテンを描く」、昨年は来館者と一緒におしゃべりしながら皆で絵を描いた作品「井戸端絵画」を「神戸文化祭」の一環で制作し発表した。
今回は、島村さんが幼少のころに2歳年下の妹とけんかした後、腹立ち紛れに机の裏などに描いていた落書きに着目する。「当時は遊びの一環、家族や友だちとのコミュニケーションツールやストレス解消として、とても素朴な衝動に従って特別な意識も無く、自然に楽しんで絵を描いていた」と島村さん。「誰かに見せるわけではない絵にいつか誰かが気付いてくれないかとワクワクした思い出がある」と振り返る。
専門的な美術教育を受けてアートを制作している現在、「あの時のシンプルで無垢な感覚を忘れてしまっては、この先描き続けても嘘になってしまうのではないか」と、当時の気持ちに戻って遊び心のある作品を1カ月間にわたり制作したという。来場者がしゃがんだりのぞき込んだりしながら絵を探す「宝探し」のような仕掛けになっており、親子や友人同士が絵をきっかけに会話が生まれ、楽しめる作品になっている。
島村さんは「子どものころに遊んだ時のような感覚で制作に取り組んだ。作品をご覧になった方々の幼少時代がよみがえり、自分自身の中に残っている『子どもの部分』を満たすことにつながればうれしい」とほほ笑む。「『KOBE STUDIO Y3』は再度山の麓にあるので、来館する人たちには坂を上がっていただくことになる。普通に絵を展示するのではなくギャラリーを面白く使うことで多くの方に興味を持っていただければ」とも。
同展は2部構成で、ほかに「視線のかけらを集めた」作品も展示する。11日は関連イベントとして「ホットチョコレート&ホットワインの日」(16時~、参加無料)を行う。
開館時間は10時~19時。月曜休館(祝日の場合翌日休館)。入場無料。今月24日まで。