神戸市在住のアーティスト・嘉納千紗子さんの個展「INNER MIND」が現在、神戸・新長田本町筋商店街近くのギャラリー「CITY GALLERY 2320」(神戸市長田区二葉町2、TEL 078-611-4959)で行われている。
現代美術コレクターの叔父・山田耕三さんの影響を受け、幼いころから芸術を身近に感じていたという嘉納さんは、神戸山手短期大学芸術科在学中に現代美術公募展への出品を始め、卒業後は油彩の抽象画家としても活動。その後、彫金やガラス加工などの技法を使った立体造形作品に興味を持つようになったという。
2004(平成16)年に「元町画廊」で開催した個展「beyond a wire fence」ではワイヤフェンスを使った作品を発表。2007(平成19)年からストロー彫刻アーティストとしても活動している。
会場には、現在の作品の原点でもあるワイヤフェンスシリーズをはじめ、ストローを束ねて作った代表作、新作となるストローのドローイング作品など約20点を展示。嘉納さんがバーナーを使ってストローを溶接し、作品を制作する映像も上映している。「軽くて繊細なストローも束ねることで強いハニカム構造になる」と嘉納さん。
7日に真陽地域福祉センターで開催予定だったオープニングイベント&トークは、新型コロナウイルスによる国内感染拡大防止のため中止。ディジュリドゥ奏者・はくさんまさたかさんによる演奏や嘉納さんと同ギャラリーのオーナー向井修一さんの対談などを予定していた。
嘉納さんは「今は人が互いに心を閉ざしあっている時代。この寂しい状況を私にできることで私なりに訴えたいと思い、2004年にワイヤフェンスの作品を発表した」と話す。「ストローは体内に水を運び、数秒でゴミ箱行きの運命。しかし、束ねて固定化することで柔軟なウエーブを自由に描く素材となり、束ねられたハニカム構造のストローは正面から見ると透けて無限の未来がのぞける万華鏡となる」とも。
開催時間は12時~19時(最終日は17時まで)。水曜・木曜・金曜休廊。入場無料。3月22日まで。