神戸旧居留地の近代建築「チャータードビル」3階フロアにある古着・雑貨店「突撃洋服店 神戸店」(神戸市中央区海岸通9)創業者の安田美仁子さんが4月3日、初の自著「古着は、対話する。」(ギャンビット)を刊行した。
神戸旧居留地の近代洋風建築の保存運動が盛んだった1985(昭和60)年、1922(大正11)年建築の大興ビルの1室に1号店をオープン。デザイナー個々の世界観を形にしていたデザイナーズブランドに影響を受けて、「時代、ジャンル、カテゴリーに関係なく、独自の価値観で選んだ古着でモードをつくる」というコンセプトを掲げ、映画やドラマ、アーティストへの衣装提供をするなど、活動の幅も広い。店名は「常に攻めの姿勢」という意味が込められている。
1989(平成元)年1月には「高砂ビル」へ移転。阪神・淡路大震災が起こった1995(平成7)年、多大な被害を受けたが2月には東京・渋谷で営業を再開し、現在も「渋谷店」として営業を続けている。復旧後は神戸での営業を続け、2012(平成24)年9月に元町の「MISXビル」へ移転。2015(平成27)年6月4日に30周年企画として現在の場所へ移転し、芸術家の交流拠点「Gallery4(現在はGallery9)」と合体した。
今年12月に創業35周年を迎える同店の仕入れから店舗ディレクションまで行うだけでなく古着表現作家でもある安田さん。同書では、カテゴリーやジャンルを問わずセレクトしてきた服やアクセサリーの写真に安田さんがSNSで発信した「本気は何よりも強い。」「ファッションの楽しさは自問自答を繰り返し、生々しくさらけ出す事。」などの言葉を添えて紹介している。
「代官山 蔦屋書店」(東京都渋谷区)での先行発売を皮切りに、4月3日には「突撃洋服店 神戸店」「突撃洋服店 渋谷店」での店頭販売を開始。アマゾンや「代官山 蔦屋書店」オンラインショップなどのネット書店でも販売する。仕様は四六判並製で、384ページ、フルカラー。価格は2,000円(税別)。
安田さんは「こんな時に出版なのか、こんな時だからこそ出版なのか、イベントも全て中止になり嘆いていたが、今はこんな時期に本を出版できたことが奇跡。ファッションや服に興味の無い人にも生き方や自己を考えるきっかけにしていただければ」と話す。