神戸の老舗ベーカリー「ケルン」の三宮店(神戸市中央区雲井通5)が8月6日、阪急神戸三宮駅(北長狭通1)近くに移転オープンする。
阪神・淡路大震災以前から営業を続けてきた「ケルン三宮店」最終日
1946(昭和21)年に御影で創業し、神戸エリアに直営店を展開する「ケルン」。「チョコッペ」「御影メロンパン」「クロワッサンベーグル」などが人気という。
三宮店はJR三ノ宮駅東側にある複合施設「サンパル」1階で阪神・淡路大震災以前から営業を続けてきた。神戸三宮雲井通5丁目地区第一種市街地再開発事業により、7月20日に閉店。移転先は阪急神戸三宮駅から北へ徒歩1分のニューリッチビル1階で、店頭には同店人気商品を模した高さ約160センチの巨大看板を設けるという。店舗面積は約31坪。
「地元の地域社会と密接につながりながら業務改善を積み重ね、パンに携わる人々が幸せになれる持続可能性の高いベーカリーを目指してきた」と言う3代目社長・壷井豪さん。近年ではSDGsの目標達成と持続可能な社会の実現に向け、事業を通じた社会課題の解決にも取り組んでおり、昨年9月には「買い物を楽しみながら世の中に好循環を生み出す」ことを目的とした同店初のサステナブルベーカリー「日々ケルン」をオープンしたほか、食品廃棄ロスを削減する経済循環型のパンの新しい販売システム「ツナグパン」を12月に始めた。
移転後の三宮店では同店のパンだけでなく、「生産者の思いとセット販売することで、ケルンに来店されるお客さまとの架け橋を作りたい」と壷井さんが日本各地からセレクトした環境や社会課題の解決につながるさまざまな商品も販売。商品ごとに用意したQRコードをスマートフォンで読み込むことで生産者の背景やストーリーを知ることができる。
廃校になった湊山小学校をリノベーションしたコミュニティー型複合施設「NATURE STUDIO(ネイチャースタジオ)」内給食室跡に今年7月開設されたクラフトビールのブルワリー「Open Air 湊山醸造所」で出る麦芽かすを使った「アップサイクルブレッド」の開発も進めており、今秋の販売を目指している。
「麦芽かすはこれまで廃棄物として処理されたり、堆肥として使われたりすることが多かったが、小麦の約12倍の食物繊維を含むなど栄養価に着目した」と壷井さんは明かす。
内装には整備のために神戸市北区小倉台で切った街路樹のユリノキを利活用することでカーボンニュートラルに取り組む重要性を可視化する。
壷井さんは「三宮店についても社会課題解決の地域ハブとなることで循環型経済を構築していく」と前を向く。
営業時間は9時~22時。