神戸・須磨にあるラトビア雑貨専門店「SUBARU(スバル)」(神戸市須磨区衣掛町4、TEL 078-736-5233)の店主・溝口明子さんの新連載が8月4日、ウェブマガジン「ミグラテール(Migrateur)」で始まった。
「『つくる』を楽しむ手芸と手仕事」がテーマの「ミグラテール」は1912(明治45)年創業の出版社「誠文堂新光社」が8月4日、配信を始めた。
溝口さんは約10年間の公務員生活を経て、2009(平成21)年9月、神戸元町で雑貨店「SUBARU(スバル)」を出店。主な仕入れ先だったラトビア共和国に魅せられ、2013(平成25)年3月に実店舗を閉めラトビアの首都リガ市へ移住した。ラトビアで1年半生活し、仕事の傍ら以前から興味のあった伝統文化や音楽を学んだという。
帰国後はラトビア雑貨専門店を経営する傍ら、ラトビア伝統音楽の演奏やラトビアに関する講演、出版物のコーディネートなどの活動を展開。現在は関西日本ラトビア協会常務理事を務める。2017(平成29)年に駐日ラトビア共和国大使より両国の関係促進への貢献に対する感謝状を受け、ラトビア公式パンフレット最新版の文章を担当。開業10周年を迎えた2019年9月、現在の場所に店舗を移転した。
2013(平成25)年から、誠文堂新光社が出版するラトビア書籍の、素材提供、現地コーディネート、校正などを行ってきた溝口さん。2016(平成28)年には、書籍「持ち帰りたいラトビア SUBARUとめぐる雑貨と暮らしの旅」を誠文堂新光社から出版し、2022年には共著で「ラトビアのミトン200」出版した。
ミグラテール創刊に当たり、溝口さんは「手仕事に関連してラトビアの文化を深堀りして紹介してほしいとの依頼を受けた」と話す。これまでのラトビア出張で出会った職人、民族衣装、年中行事、民謡などの豊富な情報を紹介するため単発記事ではなく連載記事を担当する。
「多くの経験から得た発信しきれていない情報も連載の中で紹介していくことになり、これまでの活動の集大成のような機会となる」と溝口さん。
「『SUBARU』店主 溝口明子のラトビアの手仕事をめぐる旅」と題した連載は、溝口さんがラトビアで出合った手仕事の現在(いま)を現地の写真と共に紹介する企画。第1・第3水曜の月2回配信する。今月は「森の民芸市」のリポートを掲載する。
今年、新型コロナ禍を経て4年ぶりにラトビア出張が実現したという溝口さんは「到着後しばらくは故郷に戻って来たような懐かしい気持ちでいっぱいだったが、長年慣れ親しんだ土地なので、友人や職人の方々と再会して大好きなリガの街を歩いているとずっとこんな暮らしを送っていたかのような錯覚に陥った。新型コロナのダメージや近隣諸国の情勢でもちろん変化もあったが、やはり『ラトビア』は『ラトビア』で変わることなく、『なんて豊かな暮らしなんだろう』と改めて感じた。連載では手工芸品に触れながらラトビアの皆さんが大切に守ってきたものを伝えていきたい。記事を通じてラトビアの美しい大地や人々に思いをはせてもらえたら」と話す。