写真左:Planum Partners 取締役 シェーン・オケーン氏 写真右:セレンディクス 代表取締役CEO 小間裕康 場所:大阪・関西万博 オーストラリアパビリオン(2025年10月2日)
セレンディクス株式会社(本社:兵庫県西宮市、代表取締役CEO:小間 裕康、以下「セレンディクス」)は、クイーンズランド州政府仲介のもと、オーストラリアにおける3Dプリンター住宅の導入を目指し、同国で不動産開発プロジェクトの組成や投資、アドバイザリーを行うPlanum Partners(本社:豪州・シドニー、以下「プラナム社」)と、3Dプリンター住宅事業の展開に関する覚書(MOU)を締結いたしました。10月2日に大阪・関西万博オーストラリアパビリオンにてクイーンズランド州政府主催の調印式を実施しましたのでお知らせいたします。
【プロジェクトの背景】
オーストラリアでは、住宅供給と価格の高騰が深刻な社会課題となっています。主要都市の住宅価格中央値は105万豪ドル(約1億209万円)を超え、2023年は年間8.1%上昇※2しました。特に住宅取得可能性(アフォーダビリティ)の悪化は深刻で、初めて住宅を購入する層にとって、住宅価格は手の届かない水準となりつつあります。オーストラリアの主要金融機関であるNAB(National Australia Bank)などの調査では、今後も住宅価格の上昇傾向が続くと予測※3しており、同国では建設コストの削減と供給量の拡大を可能にするため、革新的かつ手頃な価格の建設技術が求められている状況です。
※1 1豪ドル=97円換算(2025年10月3日時点)
※2 CoreLogic 住宅価格指数2023年レポート
※3 NAB 2024年住宅市場レポート
【プロジェクト概要】
当社とプラナム社は、オーストラリアでの住宅危機を解決すべく、クイーンズランド州政府と協力し、オーストラリア市場での3Dプリンター住宅導入を目指します。まずは実現可能性調査(フィージビリティスタディ)として、クイーンズランド州内での実証棟建設を計画しており、同州での導入を優先的に進めます。現地の法的要件や気候に対応した設計、サプライチェーンの構築など総合的に調査し、量産供給につなげてまいります。
【プラナム社の役割と現地展開体制について】
プラナム社は、2015年設立のオーストラリアのアドバイザリー・投資ファームで、不動産・インフラ・エネルギー分野において豊富な実績を有します。機関投資家、政府機関、大手企業向けに戦略的アドバイスと資金調達支援を提供しており、オーストラリア国内の建設・不動産業界に強固なネットワークを持っています。
本プロジェクトにおいてプラナム社は、実現可能性調査を含むプロジェクトに関する資金調達や、クイーンズランド州政府および関係機関との調整、現地建設会社、素材サプライヤーとのネットワーク構築を担います。
セレンディクスは、設計データの提供と現地での出力・施工を分離する独自のビジネスモデルを、グローバル規模で実現させることを目指しています。これまでに世界5カ国(日本、中国、韓国、オランダ、カナダ)での同時出力実験や、タイ最大のコングロマリットであるサイアム・セメント・グループ(SCG)との3Dプリンター専用モルタルの供給および共同開発など、国内での活動と並行して準備を進めています。本プロジェクトにおいても、オーストラリアの建築基準や素材調達の課題を現地パートナーとの協業で解決しながら、高品質かつ低価格の3Dプリンター住宅を提供してまいります。
【セレンディクス 代表取締役CEO 小間裕康コメント】
今回、クイーンズランド州政府のご支援をいただき、プラナム社と協業できることを大変光栄に思います。オーストラリアの住宅価格中央値が1億円を超える中、多くの人々が住宅取得を諦めざるを得ない状況は、まさに我々の技術が必要とされている課題です。これまでウクライナでの復興支援プロジェクトやSCGとのグローバルサプライチェーン構築など、海外展開の基盤を築いてきました。オーストラリアでのプロジェクトでは、この『データ提供と現地施工の分離モデル』を本格的に実装し、現地の素材と労働力を活用しながら、日本と同等の品質と大幅なコスト削減を実現します。引き続き、世界中どこでも質の高い住宅を手頃な価格で提供できる体制の構築を目指します。
【プラナム社 Executive Chairman(会長) マシュー・マッキャン氏コメント】
オーストラリアにおける住宅不足と購入可能性の問題は、政府が大きな関心を寄せる緊急の課題です。土地供給が限られているため、建設方法から節約を実現する必要があります。セレンディクスのデモンストレーションプロジェクトの実施を支援し、彼らの先進的な技術を住宅建設業界により広く導入できることを楽しみにしています。
Planum Partnersについて
所在地(本社):Level 34, 1Macquarie Place, Sydney, NSW 2000
事業内容:不動産、インフラ、エネルギー分野におけるアドバイザリーサービスおよび投資
WEBサイト:https://www.planumpartners.com
セレンディクスについて
当社は日本初の3Dプリンター住宅メーカーです。2024年9月に2人世帯向け住宅「serendix50」の販売第1号棟を石川県珠洲市に建築。2024年には「日・ウクライナ経済復興推進会議」において、ウクライナの復興住宅建設に関して現地の建設会社と覚書を締結しています。またJR西日本グループと資本業務提携し、駅舎を3Dプリンターで建設するプロジェクトを行うなど住宅以外の事業も手がけています。
能登で建設した「serendix50」
JR初島駅で建設した世界初の3Dプリンター駅舎