
■「新・美脚研究所」の目的とは
入り口では、シーズンごとにパンツを履き替え、日々品質を検証するための屈伸を繰り返すロボット「くっしんちゃん」が出迎えてくれる。以前の「美脚研究所」から活躍する「くっしんちゃん」だが、同施設を開設する際に「ストレッチパンツだけを扱うアパレルはほかにない、こだわりが伝えられたら」と外からも見える位置に配置され、現在はPR大使として活躍しているという。
縦にも横にも伸びるストレッチ生地を使用している同社のストレッチパンツ。施設内の研究室の一角にはランニングマシンを置き、「人間の足の動きをよりスムーズにするようなパンツを作りたい」と歩いているときの足の動きのデータを取り、商品開発に生かしている。データを取る際はランニングマシンの前と横にカメラを配置、カメラが撮影する映像データをパソコンで分析する。また表面の温度を可視化するサーモグラフィーや布と皮膚の間の温度を測る「衣服内気候測定器」なども使い、人間工学の研究の成果によってより快適な製品づくりを目指す。
また腰・ひざ・くるぶしのあたりにシールを貼り、骨盤の位置やひざの曲がる角度を計測することで歩きやすさを調べる。年齢とともに足の歩幅が狭くなるため、パンツによる歩幅の違いの計測も大切な要素の一つだという。担当者は「弊社のストレッチパンツは外から見るとシンプルなデザインのものが多いが、実は機能がたくさん入っている。腰や足の形は人それぞれ。どんな方にも履きやすさを提供したい」と話す。
研究所内には実際に商品を生産する工場でも使っているミシンを導入し、工場で生産にかかわるスタッフにも提示できるように研究を続けている。
家庭によって、洗濯の方法はさまざま。国内外の洗濯機をそろえ、洗剤の種類も豊富に用意してテストしている。「お手入れしやすい、洗濯機で洗える」ことが商品化の条件の一つでもあり、センタープレスの入った商品でも商品の型崩れがしにくいように開発していることがポイント。実際にスタッフが何回もテストパンツをはき、それを洗濯するというお客さまの日常の使用感に近い状態でテストしている。色落ち、けば立ち、ひざが抜けていないかを試している。開設した施設では、テスト用に乾燥室も作ったという。
肌触りや生地強度をデータで見る検査を行う「品質検査ラボ」では、人によって感じ方の違う「肌触り」を計測する機材や生地を引っ張り生地の強さを見る装置などを設置。生地の強さには染色の違いから色によって差がでることもあるため、同社では全色必ず検査をする。強度を保証できない色がある場合は、来シーズンに向けて開発し直しになることもあるという。
また生地に1.5キロの重りを付けて、どれだけ伸びるかの伸長率と、重りを外した時にどれだけ戻ったかの回復率を測る「伸長回復率試験機」も。ストレッチパンツの開発には欠かせない検査だという。研究所にはほかにも摩擦でどれだけ色移りするかを調べる「摩擦堅牢度試験機」などが並ぶ。