ホームレス支援誌を発行-ビックイシュー代表、「神戸学校」講師に

ホームレスの自立を支援するビックイシュー日本代表の佐野さん

ホームレスの自立を支援するビックイシュー日本代表の佐野さん

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 フェリシモ(神戸市中央区浪花町)主催の「神戸学校」が2月7日、ビックイシュー日本代表・CEOの佐野章二さんを講師に迎えてエスパスフェリシモホール(須磨区)で開催された。テーマは「新しい社会とのかかわり方~ホームレスとともに創る社会的企業の経営」。

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 ホームレスの仕事をつくり自立を応援することを目標に、ホームレスだけが販売できる雑誌「THE BIG ISSUE(ビックイシュー)」(300円)を製作し、現在月2回発刊、これまでに112号まで発行している同社。

 第1部の講演で佐野さんは起業に至った経緯を「きっかけは自分の子どもを育てる時に、保育所が整備されていないという市の政治の問題ととぶつかったこと。誰が責任を持って街づくりをしているのか分からず、1980年代に地域や都市のプランニングをする会社を立ち上げ、街づくりを自分の仕事にした」と振り返った。「ホームレスを哀れみお金を与えるのではなく、お金を稼げるチャンスを与えたい。ビックイシューはこれまでに274万冊を売上げ、3億2,200万円がホームレスの皆さんの収入になっている」とも。

 ほかにも、参加者が「現在の社会で問題であると思っていること」と「それを解決するためのアイデア」を佐野さんと考えるインタラクティブセッションが行われた。子どもが3人いるという参加者の男性からは「教育に問題がある」という意見が上がり、「丸暗記のテストだけでは知識の深さが出ないので日本語や日本の文化を教えることにもっと時間をかけたらいいのでは」「教育自体の見直しが必要ではないか」などの意見が出た。

 第2部では佐野さんに加えて、実際に路上で同書を販売している販売員3人も登場し、会場からの質問に答える質疑応答が行われた。会場から販売員に対する「今のような生活になるまで貯金をしていなかった自分の甘さを感じないのか」という厳しい質問に対して、販売員の男性は「正直、後悔している。以前は福祉関係の仕事をしていたが、人間関係が原因で仕事を辞め、着の身着のままで家を出てしまった。でも介護福祉士になる夢は捨てていない」と心境を明かした。「ビックイシューを踏み台にして、これから福祉の世界に戻って自分の出来ることは何でも努力を惜しまずやっていきたい」との言葉には会場から拍手がわき起こった。

 佐野さんは大阪府出身。NPO法制定に関する基礎調査をはじめ、仙台、神戸、広島などのNPO活動支援センターや、阪神泡時代震災時には3つの応援組織立ち上げを支援した。最近はホームレスの人たちが雑誌を購入する若者から寄せられた悩みへ回答し、その悩みを癒やす料理のレシピが掲載されたユニークな1冊「世界一あたたかい人生相談-幸せの人生レシピ」をプロデュースした。

 フェリシモの主催する「神戸学校」は1995年の阪神淡路大震災をきっかけにスタートし、今回で142回目を数えた。参加料は全額、「あしなが育英会」の神戸レインボーハウス運営支援に活用される。

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