「麻袋(あさぶくろ、またい)」を活用したアップサイクルプロジェクト「またeプロジェクト」が10月1日、神戸で発足した。
独立支援カフェ「sla cafe(スラカフェ)」(神戸市北区甲栄台1)と1928(昭和3)年創業の老舗焙煎(ばいせん)業コーヒー豆販売店「萩原珈琲」(灘区城内通1)がタッグを組み、これまで廃棄していた麻袋を捨てずに再活用し、製品化する同プロジェクト。商品製造は、障がい者福祉施設の入所者、子育て中の主婦など、多様な働き手による分業作業で行う。
プロジェクト名は「またい」と「ecology」「economy」などの頭文字「e」にちなんだ「またe(またい)プロジェクト」と命名。ごみを減らす環境負荷の軽減活動を通じて、地域の雇用を創出する持続可能なビジネスモデルの基盤づくりを進めていくという。
12月は神戸各所で「珈琲豆オーナメントづくりワークショップ」を開いた。4日は灘中央市場内「いちばたけ」(水道筋3)、5日は「スラカフェ」。商品化できなかったコーヒー豆をミニ麻袋に入れてオーナメントを製作した。オーナメントは12月26日まで、各会場などに展示する。
来年1月11日からは、「スラカフェ」と神戸市役所(中央区加納町6)1号館1階「萩原珈琲 127番地」で麻袋から作った商品「ホットコーヒー用スリーブ」(550円)を販売する。「萩原珈琲 127番地」では通常、ホットコーヒーの注文時に手持ちの熱さを防ぐために紙製のスリーブを付けて提供しているが、次回以降に同商品を持参すると1杯につき10円割り引く。
プロジェクト発起人で「スラカフェ」共同経営者の藤井和博さんは「地域住民の声で耳にするのは、働きたくても子育てのため家庭の外で長時間勤務することが難しく社会とのつながりが希薄に感じられるという悩みが多い。一方、以前から協力いただいている障がい者福祉施設『社団法人 白百合学園』では入所者がもっと働きがいを感じられる作業を求めていた。一つの仕事を通じて、互いの得意分野を尊重し作業工程を分担するチームを作りたかった」と話す。
「萩原珈琲」マネジャーの萩原英治さんは「生豆を生産地から運ぶために作られた麻袋は耐久性に優れ、土から生まれ土にかえる天然素材。一般的には、海を渡って無事に届ける大役を終えた後は廃棄処分しているが、何か活用ができる方法はないかと模索していた。せっかくなら萩原珈琲が好きで飲んでくださっているお客さまに、愛着を持って使ってもらえそうな物を再製品化したいという思いがあった」と話す。