神戸ポートピアホテル(神戸市中央区港島6)で4月16日、近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)主催の公開講座「BOST Science Cafe(ボストサイエンスカフェ)」が開催された。
サイエンスカフェは、大学などで行われている研究について一般とコーヒーを飲みながら楽しく気軽に話し合う場。1997年から1998年にかけて、英国とフランスで行われたものが起源とされている。1999年度から始まった同学部の公開講座は今回で136回目。本年度の1回目となる当日は幅広い世代の190人が参加した。
生物工学科の鈴木高広教授による講座「太陽光分散利用型植物工場の開発~日本を救う芋ビジネス~」では、ガソリン・軽油に代わる燃料作物「芋」について紹介。「代替エネルギーとして国内農家で約8億トンの生芋を生産すれば20兆円ほどの経済効果と内需拡大が期待できる。CO2排出量の削減、脱石油・脱原子力にも役立つ」という芋ビジネスの魅力と新技術の課題について解説した。
遺伝子工学科講師の田口善智さんによる講座「がんと遺伝子工学~がんと遺伝子の関係から予防へのヒントを探る~」では、国内の死因第1位である「がん」のメカニズムについて解説した。
講座後に設けられた質疑応答の時間にはケーキが振る舞われ、「芋ビジネスの実現まではどれくらいかかるか」「がんは遺伝が20%、環境が80%というが実際はどうか」など参加者からの質問に講師が回答。参加者らは熱心に耳を傾けた。終了後は参加者全員に受講証明書が手渡された。
参加した高校1年の女子生徒は「遺伝子の話が分かりやすく興味深かった」と話し、中学2年の男子生徒は「芋の話が面白かった。受講証明書がもらえてうれしい」と笑顔で話していた。
同学部公開講座担当の大岡主典さんは「最近は地元の教育委員会からの後援もあり、生涯学習を目的とする年配の方から小・中・高生まで、幅広い年齢層の方にご参加をいただいている。食・医療・福祉・環境など最先端の研究に触れることで、科学に対する興味を広げてほしい」と期待を寄せる。
本年度の公開講座は15回を予定。詳細は同学部サイトで確認できる。