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「子どもと一緒に一歩踏み出すのが楽しい」-ベビラン副代表・時松愛さんに聞く

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■ベビランについて

-ベビランとは?

ランニング専用のベビーカーを使用して乳幼児と一緒にランニングをするスポーツ。専用のベビーカーにはばねが入っているものや、フレーム構造で衝撃吸収に長(た)けているものもあり、ハンドブレーキやハンドストラップなど、安全性が十分に考慮されている。ランニング専用ベビーカーには約30年の歴史があり、アメリカのベビーカーエクササイズ教室は2001年くらいから急速に広まっている。

アメリカやヨーロッパのベビーカーエクササイズ教室はベビーカーを自前で持参するスタイルで、ベビーカーもランニング専用ベビーカーを持参するという規則はないよう。ランニング専用ベビーカーをスクールで用意して参加者の負担にならないようにしているのは世界的に見てもベビランだけ。必ずハンドブレーキや衝撃吸収構造などが搭載されているものに限って採用する基準を設けている。

-始めたきっかけは?

1998年にアメリカに留学していた時にベビランを知った。その当時は「アメリカのお母さんたちはタフだなぁ」と感じたくらいで、自分がやるとは思っていなかった。その後病気にかかり約8年間半分寝たきりで、辛うじて仕事をしているような状態が続いた。2007年に長男を出産、陣痛や出産などを乗り越えたことで病気が好転し、子どもをベビーカーに乗せて歩くという夢をかなえることができた。闘病を支えてくれた主人を喜ばせたかったのもあり、一度はフルマラソンの出場を考えたが、病気で体力が落ちていたのと、子どもがいると自由に動けないことで悩んでいた。そんな時、アメリカで知ったベビランを思い出して、「子どもを乗せて走ろう」と思いついた。

-ベビランをしてよかったことは?

とてもシンプルなスポーツで、子どもと一緒に一歩踏み出すのが楽しい。近所でする時は、散歩の延長。「電車が通ったね」「花が咲いているよ」などと子どもと会話しながら日常を楽しめる。スクールでは子どもたち同士で遊んでくれる。親の息抜き、子どものお遊戯も兼ねて行えるのがいい。


■ベビランに参加するには

-注意事項は?

ランニング専門でないベビーカーでは絶対に走らないでほしい。専用のベビーカーを持っている方は少ないので、スクールでは専用のものを無料で用意している。靴だけ走りやすいもので来ていただければ、パパ用ママ用のウエアも用意しているので、いつも通りの抱っこひもやコンパクトなベビーカーで来ていただければ大丈夫。

-どんな方にやってほしい?

「今まで運動した経験のない方」や「子どもが生まれてからギクシャクしてしまっている夫婦」にぜひ参加してほしい。グループでベビーカーエクササイズをすると産後うつが改善されやすいというデータもあるので、楽しんでストレスを解消して帰ってもらえたら、それが一番。歩く、走るなどのリズム運動をすることで脳内に「セロトニン」という物質が分泌され、気分を落ち着かせてくれる効果がある。現在でも参加家族の約9割はお父さんも参加されている。

-乳幼児の安全性、適した月齢は?

走る場合の月齢は6カ月以上。専用ベビーカーの設計自体がランニング専用になっている。レッスンでも安全に止まれるスピードを守り、赤ちゃんが嫌がっている場合は無理をしないことが大事。心地いいのか、途中で眠ってしまう赤ちゃんも多い。

-参加者の体力の差が出ないか?

ベビランは「ラン」だから、体力がある人でないと無理と思われるが、歩ける方ならOK。体力に自信のない人はウオーキングからスタート。その方々に合わせてできるのがいいところ。スキップや筋トレなどの要素を取り入れてサーキットトレーニングのように進めていく。皆さんそれぞれ得手不得手があるので、自分に合った運動を探しに来てほしい。


■活動について

-どういった活動をしている?

スクールを月に2回(通常は第2・第4土曜日)、神戸・六甲アイランドで開催している。ブログやフェイスブックでお知らせし、ネット上で申し込みしていただく。参加は1家族2,500円。ぜひお父さんも参加してほしい。おじいちゃんやおばあちゃんも一緒に家族で来られる方もいらっしゃる。

-どんな活動に参加している?

今年6月にグランドフィナーレを迎えた「こうべイクメン大賞」や、神戸ITフェスティバルなどさまざまなイベントに参加している。


■今後について

-参加者の反応は?

子どもと一緒にできるのが最大の魅力。「また来たい」と言っていただくことが多い。問い合わせは日本全国からあり、近い地域での開催予定についてや、「待ち切れず自分でベビラン専用ベビーカーを買いました」という連絡を頂くこともある。最初は何となくギクシャクしているように見えるご夫婦も、帰りには仲良くなって帰っているように思える。

-お父さんの参加について

立ち会い出産も確立され、母子手帳にも男性が記入する欄があるのに、産後のエクササイズは女性専用のところが多い。お父さんには、出産後の女性とどう接していったらいいかなども含めてレッスンに取り入れているので、まずは一緒に参加するところから始めてほしい。

-これからやりたいことは?

スクールを増やしたい。遠くから来てくださっている方も多いので、まずは近場で気軽に参加できるような環境を作りたい。先生を増やして拠点を増やしていけたら。虐待のニュースをよく聞き、件数も増えている状況なので、そんな方たちの息抜きの場となるのがベビランの役目ではないかと感じている。


■インタビューを終えて

病気に苦しんだ過去があり、出産を機に症状が好転した時には「外に出るだけで全てがキラキラして見えた」と話す時松さん。満足に歩けない状態が続き、車イスに乗ることもあったが、今は最愛の家族と過ごす日々を楽しみながら、ベビランの普及活動にいそしんでいる。

「何かない限り家族一緒に行動する」という家訓に沿って、インタビューも長女を膝に乗せあやしながら答えてくれた時松さん。母であり、妻であり、女性であることに無理をせず、自分のペースで生きている姿は美しいと感じた。ベビランと時松さんの今後に期待したい。

ベビラン

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