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元「ザ・スパイダース」ギタリスト・井上堯之さん、地元神戸からライブ活動再開

「『Old Bat』は『迷惑じじい』という意味なんだよ」と笑顔で話す井上さん

「『Old Bat』は『迷惑じじい』という意味なんだよ」と笑顔で話す井上さん

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 元「ザ・スパイダース」のギタリスト・井上堯之さんのライブ活動再開ツアー「Old Bat Tour in 神戸」が3月16日、地元神戸のライブハウス「神戸・WYNTERLAND(ウィンターランド)」(神戸市中央区山本通2)で開催された。

井上さんは、オリジナル曲のほか、唱歌など全19曲を熱唱

 井上さんは1941(昭和16)年神戸生まれ。1962(昭和37)年、「田辺昭知とザ・スパイダース」に参加。リードギターとボーカルを担当。解散後、沢田研二さんや萩原健一さんらと結成したPYG(ピッグ)を経て「井上堯之バンド」結成。沢田研二さんのバッキングを中心にテレビドラマ「太陽にほえろ」「傷だらけの天使」などのテーマ曲をはじめテレビ、映画、舞台、ミュージカルの音楽を多数手がけ、「火宅の人」で日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。レコード大賞受賞曲「愚か者」の作曲者でもある。萩原健一さん、柳ジョージさん、宇崎竜童さんらとの活動と並行して作・編曲家として活躍。2003年から国内外でソロライブを行い、2005年秋には映画「カーテンコール」(佐々部清監督)に出演。名古屋芸術大学客員教授を務めるなど各方面で活動していたが、2009年1月、井上さんは「『自分はいかに生き、何をすべきか』を考え続けてきた結果」として突然のプロミュージシャン引退を発表する。

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 その後、2010年6月まで南小樽病院通所リハビリテーション(北海道小樽市)で音楽を通してのボランティア活動を続けてきた。井上さんは「初めてこの場所でライブを開いた時、皆さんは1曲ごとに心やさしい拍手をしてくれたが、浮いている自分、場違いな自分を感じた」と話す。「ライブが終わって、(同院の)大川理事長から『高齢者の多いこの場所では、童謡、唱歌や歌謡曲をやった方がいい』とアドバイスをされ、それからは難しい音楽をやらず、誰でも分かりやすい健全で素直な音楽をやり始めた。その中から音楽とギターに対する新たな思いが、これからの希望となって生まれた」と、活動再開のきっかけを明かす。

 ツアー名の「Old Bat」は井上さん自ら命名したという。「『Old Bat』は『迷惑じじい』という意味なんだよ(笑)。こんな『じじい』がステージに立って音楽やるんだから、迷惑な話だよな」と笑顔で話す。「神戸でのライブは3年ぶり。一度引退してのライブ活動再開なのにお客さんが集まってくれるのは幸せ。これからは独りよがりじゃない音楽を目指す」とも。

 ツアー初日となる同会場は、井上さんの故郷である神戸ということで多くの同窓生らとファンで埋め尽くされた。開始早々の「何も言わずにいなくなってごめんなさい」の井上さんの言葉に会場からは笑いと拍手が起こった。演奏曲目は「テンダーナイト」「いま一度」「I stand alone/一人」「愚か者」などのオリジナル曲のほか、唱歌も披露。アンコールを含め全19曲を熱唱した。さらに、前日に誕生日を迎えた井上さんへ同窓生から花束のプレゼントもあり、会場は盛り上がりをみせた。