神戸芸術工科大学(神戸市西区学園西町8)の学生と明石海峡大橋のたもとにある「ホテルセトレ神戸・舞子」(垂水区海岸通)が3月11日、地域資源を利用した木製朝食プレートを共同制作したと発表した。
同校は「学部の特性を意識して取り組むことで学んだことの意義を確認する」「企業の社会的責任を深く考えて将来に生かす」「企業と濃いコミュニケーションをとることで実社会の仕組みを肌で感じる」「異なる学部の学生と協働で課題に取り組むことで広い視野を身に付ける」ため、これまでも積極的に企業との連携に取り組んできた。
新型コロナウイルスの影響で授業はリモートになり、「作品をたくさんの人に見てもらう機会がない」「社会との接点がない」「企業や学外への認知・評価を受けたい」などの課題がある中、作品を作ることも難しくなっているという。
地域に眠っている歴史・自然・文化・食・芸術を発掘し、魅力を発信することで地域活性化に貢献したいと考えている同ホテルが学生の視点・発想に注目。社会経験や就職活動に役立つ取り組みとして、学生ならではの意見を取り入れたプランや製品を開発する共同プロジェクトを立ち上げた。
今はコロナ禍で気軽に旅ができないが、「いつの日か、目の前に広がる明石海峡大橋と淡路島の絶景とともに地域の素材がぎゅっと詰まった朝食を楽しんでいただきたい」という思いから、「お客さまに朝から宝物(料理)が入った箱を開けるようなワクワクした気分」になってもらえるよう地域資源を利用した朝食プレートの制作を決めた。
今回は同校のプロダクト・インテリアデザイン学科の学生がデザイン・製作・撮影を担当、ビジュアルデザイン学科の学生がグラフィックを担当した。同ホテルのコンセプトの中からリラックスとリピータブルに注目し、同プレートをデザイン。染色には同ホテルで出たコーヒーの出がらしと玉ネギの皮を再利用、木製プレートには六甲山の間伐材を使うことで地域の素材を活用した同プレートが実現した。
同プロジェクト担当の井上小矢香さん(プロダクト・インテリアデザイン学科 実習助手)は「コロナ禍で学生たちと街との関わりが減少していた中、貴重なきっかけを頂いた。学生たちも学内の課題だけでなく実用性のあるものをデザイン・製作できることに喜びを感じながら、セトレの皆さまとの打ち合わせや製作に励んでいる。学生たちがデザイン・製作した朝食プレートを使っていただいている光景を思い浮かべながら、5月中旬からの朝食プレートでの提供に向けて進めていきたい」と話す。